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2022.11.25 議会改革

第33回 国等の政策にコミットする

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 これらは国の政策に自治体の側の意向を反映するための制度といえるが、さらにその充実・強化を求める意見も少なくなく、それは国と地方が対等に協議する場の設置を求める声につながっていくことになった。
 国と地方の協議の場は、三位一体の改革の際にも事実上設けられたが、地方六団体はこれを法律で設置することを求め、2011年に「国と地方の協議の場に関する法律」が制定されるに至った。
 国と地方の協議の場は、地方自治に影響を及ぼす国の政策の企画立案や実施について、国と地方が協議するもので、国の側が、内閣官房長官、内閣府の特命担当大臣、総務大臣、財務大臣、内閣総理大臣が指定する国務大臣、地方の側が、地方六団体の代表それぞれ1人とされ、国の側から議長と議長代行、地方の側から副議長を互選により出すこととされている。また、臨時の議員として、議案を限って、議員でない国務大臣、自治体の長・議会の議長を参加させることができるほか、内閣総理大臣はいつでも出席し発言することが可能とされている。協議の対象となるのは、①国と自治体との役割分担に関する事項、②地方行政、地方財政、地方税制その他の地方自治に関する事項、③経済財政政策、社会保障・教育・社会資本整備に関する政策その他の国の政策に関する事項で地方自治に影響を及ぼすと考えられるもののうち、重要なものとされている。
 協議の場は、毎年度一定の回数、内閣総理大臣が招集し、議員は内閣総理大臣に対し招集を求めることも認められている。協議の場が開かれた場合、議長は、その終了後遅滞なく、協議の概要を記載した報告書を作成し、国会に提出するものとされている。また、協議が調った事項については、議員・臨時の議員は、協議結果を尊重することが義務付けられている。
 協議の場において、自治体議会の側の意見は、協議の場でいずれかの議会の議長が臨時の議員とならない限りは、それぞれの全国議長会を通じて表明されることになる。ちなみに、これまでのところ、地方六団体の代表者以外の自治体の首長や議長が臨時参加した例は、ほとんどないようだ。
 国と地方の協議の場の制度ができてから10年余の期間が経過し、近年は年3回の定例会だけとなることも少なくなく、協議事項が定型化し、取り上げた事項につき協議が調うこともほとんどなく、国が説明し地方の側が意見表明ないし要請を行うにとどまるようになっており、機能していない、形骸化している、地方六団体はその対応に苦慮するようになっているなどといった指摘もなされている(15)。ただ、そのような現状・課題はあるにしても、地方自治に影響を及ぼす国の政策について、国と地方の側が対等な立場で協議し、地方の側がその決定に参画できる画期的な制度なのであって、その意義・役割を正当に評価すべきであり、これを継続していくことが大事だろう。
 自治体の国政参加をめぐっては、立法過程への参加をより確実にする方策として、地方自治に影響を及ぼす法案の国会での委員会審査に際しては必ず自治体の側の代表による意見陳述の機会を設けることを義務付ける提案なども見受けられ(16)、これまでに設けられた制度の活用を図りつつ、更なる拡充整備についても今後とも課題となっていくものと思われる。
 

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