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2022.11.25 議会改革

第33回 国等の政策にコミットする

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2 自治体の国政参加

(1)自治体の国政参加の意義と制度の整備
 地方自治の保障・強化のためには、地方自治体の事務にかかわる国の法令の制定改廃、計画の策定、その他一定の行政施策などに対し、自治体あるいはその連合組織の意見を反映させることが必要となる。特に、国の法令が自治体の事務について詳細に規律している現状への対応としても、そのことは重要な意味をもつことになり、この点から問題となってくるのが、自治体の国政参加である。
 自治体の国政参加を認める考え方には様々なものが見られるが、自治体の国政参加は、自治権を実体的に保障するための手続的な保障となるものであり、これには、国の法令・計画・財政等による自治権の制約など自治への国の介入に対する防御的な参加と、国と地方が対等・協力関係にあることを前提とした国と地方に関係する国の意思決定への協同(共同)的な参加などがあるとされ、自治体の事務の国への集中の場合における自治権剥奪への補償の意味をもつ補償的参加が挙げられることもある(13)。そこでは、地域住民の共同利益や意向のその公的代表を通じた反映や、国と地方の協働関係における適正な機能分担といった視点も持ち込まれることになるほか、国の政策について地方の実情や特殊性に配慮することが必要となることからは、自治体の参加は、国の側からすれば情報収集機能を果たすことにもなる。
 なお、憲法95条は、一の地方自治体のみに適用される地方自治特別法について、当該自治体の住民の過半数の同意を必要としているが、これも広い意味での防御的な国政参加であり、自治体の国政参加の制度化に当たり正当化の一つの根拠を提供するものになるとの見方もある(14)。いずれにしても、憲法の規定に反しない限りにおいて、法律等により自治体の国政参加を制度化することは可能といえるだろう。
 自治体の参加のための制度は、省庁の抵抗などもあって長年の懸案となってきたが、1993年の地方自治法の改正により、全国的連合組織である地方六団体が地方自治に影響を及ぼす法律・政令その他の事項に関し、総務大臣を経由して内閣に意見の申出を行い、又は国会に意見書を提出することができるとする制度が整備された(同法263条の3第2項)。さらに、1999年の地方分権一括法により、その場合には、内閣は、遅滞なく回答するよう努めるものとされ、特にその意見が自治体に対し新たに事務・負担を義務付けると認められる国の施策に関するものであるときは遅滞なく回答する義務があるものとされている(地方自治法263条の3第3項・第4項)。
 その後も、2006年の地方自治法改正では、各大臣は、その担任する事務に関し自治体に対し新たに事務又は負担を義務付けると認められる施策の立案をしようとする場合には、内閣に対して意見を申し出ることができるよう、地方六団体に当該施策の内容となるべき事項を知らせるために適切な措置を講ずることが規定された(同法263条の3第5項)。

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