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2022.11.25 議会改革

第33回 国等の政策にコミットする

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 2021年に参議院が受理した意見書の主な項目としては、①新型コロナウイルスワクチン接種、②こども政策の充実、③新型コロナの影響を受ける事業者への支援等、④地方財政の充実・強化、⑤コロナ禍による厳しい財政状況等に対処するための地方税財源の充実、⑥選択的夫婦別氏制度の法制化、⑦女子差別撤廃条約選択議定書の批准、⑧核兵器禁止条約への署名・批准、⑨中国の新疆ウイグル自治区における人権侵害問題、⑩日米地位協定の見直し、⑪沖縄戦の戦没者の遺骨等を含む土砂の埋立てへの使用、⑫適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入、⑬学校教育におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の適切な推進、⑭私学助成の充実強化等、⑮教育費負担の軽減に向けた教育予算の確保・拡充、⑯義務教育費国庫負担制度の拡充、教職員定数改善と少人数学級の推進等、⑰出産育児一時金の引上げ、⑱補聴器購入に対する公的補助制度の創設、⑲後期高齢者の医療費窓口負担割合の原則1割負担継続、⑳米の需給環境改善と米価下落対策、林業・木材産業の持続可能な発展に向けた施策の充実・強化、地球温暖化、海水温上昇に伴う水産漁業被害の解明と支援策等、離島振興法の改正・延長、国土強靱化に資する社会資本整備等、豪雪地帯対策特別措置法の改正等、などがあるという。その内容は、行政の各分野に及ぶ結果となっており、自治体が直面する課題の多様さが現れているとの分析もなされている(8)
 他方、自治体議会の意見書については、政治性を帯びることもあり、政治的に議論が分かれている問題について、一定の立場から意見書が提出されることなども散見される。その場合、政治や社会の状況が反映することもある。例えば、定住外国人の地方選挙権の問題については、1990年代から政治的な議論となっているが、1995年頃には400近い県や市町村で参政権の付与を求める要望決議がなされていた。しかし、国政における議論の対立や国際情勢の変化などもあって、2000年代に入ると、参政権付与に反対したり、慎重な対応を求めたりする意見書が次第に増え、賛成の意見書もあったものの、2010年前後には反対・慎重の意見書がかなりの数に上った(9)。おそらく、1990年代と2000年代とで逆の意見を表明した議会もあるのではないかと思われる。それをどうこういうつもりはないが、意見書が政治的色彩を帯びたり、政治的影響を受けたりするものとなることの証左ともいえるだろう。
 世間の関心が高い問題について意見書が提出されたり、多くの自治体議会から同様の意見書が提出されたりする場合には、それが注目されることもあるが、他方で、横並びで意見書を提出するようなことも見受けられる。中には、十分な検討を行うことなく採択・提出されたと思われるような意見書や、世間の注目を引くことを狙いとしたものなども散見され、その濫発により逆に権威を下げているとの指摘もある(10)。意見書が国政においてもっと意味をもつようにするのであれば、自治体議会の側の意識や対応を改めるようにすべきところもあるとの議論もあり、意見書は、当該自治体にとって重要事件に限定して可決する必要があるとの指摘なども見られる(11)
 

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