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2022.11.10 議会運営

第86回 表決における白票の取扱いについて

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(1)行政実例説
 問題点(ア)の法116条1項における出席議員とは、行政実例(以下「行実」という)昭和32.5.11のとおり、採決の際、議場にある議員で当該事件につき適法に表決権を有する議員をいい、法117条ただし書における除斥に該当するが議会の同意により会議に出席している議員は出席議員に含まれない。ただし、表決に際して棄権した議員、白票を投じた議員は出席議員に含む。

○白票の取り扱い(行実昭和32.5.11)
問 白票の取り扱いについては、既に行政実例(昭和25.5.12広島県議会事務局長宛)があり、一方昭和28.9.25別記(略)のごとき高等裁判所の判例がある。実例として矛盾するについていかなる見解を有しておられるか。
答 昭和25年5月12日付広島県議会事務局長及び昭和25年8月24日付宮城県議会事務局長宛の行政実例は変更するものでないからこれによって承知されたい。なお、当庁としては地方自治法第116条第1項にいう「出席議員」とは、あくまで採決の際議場に在る議員で当該事件につき、適法に表決権を有する者の意と解しているから念のため申し添える。

 問題点(イ)の法116条1項における議長裁決権を行使する際の前提となる「可否同数」とは、行実昭和25.8.24のとおり、棄権、白票があるときはそれを除いた可決と否決がそれぞれ同数である場合をいい、その場合において議長は適法に裁決権を行使することができる。

○議会の議決が可否同数の場合の議長の裁決権(行実昭和25.8.24)
問 第116条の疑義について昭和25年5月12日自行発第62号広島県議会事務局長宛、貴職の回答1において第116条後段の規定により議長がこれを裁決すべきであるとの御回答であるが、この場合同法前段の出席議員の過半数の原則に反する結果となっても議決は有効となる解釈であるが、若ししかるときはその法的解釈について明示願いたい。
答 前段、お見込のとおり。後段、法的解釈については、通常の場合は、可否同数とは可否いずれも半数であることを必要とするのであるが、白票又は棄権があった場合には可否いずれとも表明しないものが出席議員中に含まれるのであるから、可否同数が出席議員の可否各半数に限るという解釈にはなり得ない。また、議長は、議員として議決に加わる権利は有しないのであるから、議長の裁決権を1票と解することはできない。あくまで可否についての裁決の権限を有するものと解すべきである。従って、可否同数であれば、議長は裁決権を行使しうるものと解されたものである。

 問題点(ウ)の表決に当たり棄権、白票が多数ある場合に、法113条における議員定数の半数以上の議員の出席を要件とする定足数については、行実昭和26.5.2のとおり、出席議員には議長及び白票を投じた議員、表決に際して棄権した議員を含めるが、法117条における除斥議員は含めない。

○議長と出席議員数の計算(行実昭和26.5.2)
問 議長と出席議員数の計算との関係及び議長の表決権の関係等について、次のごとく解してさしつかえないか。(但し、2については、この場合にも議長を出席議員数の計算に入れるべきであるとする1都市がある。)
1 第113条の「議員の定数の半数」には、当然議長を計算に入れる。(議長もまた定数の構成員であるから。)
2 第116条第1項(過半数多数決)の場合、過半数算出の基礎たる出席議員数の計算には、議長を入れない。(本項規定の出席議員とは、表決権を有する議員を意味すると解する。従って表決権を有しない議長は、これを出席議員数の計算に入れないと解する。)
3 特別多数決(3分の2以上多数決等)の場合は、議長は表決権を有する。従ってこの場合は、当然議長も出席議員数の計算に入れる。(第116条第2項の議長の表決権の排除は、過半数多数決の場合に限定されているものと解され、且つ、特別多数決の場合は、議長は裁決権を行使することがないから当然表決権を有すると解する。
4 第118条第1項の決定には、議長は、表決権と裁決権をあわせて有すると解してさしつかえないか。(第116条第2項の規定は、議長が決定に加わる権利を排除していないから。)
答 1、2、3 お見込のとおり。
4 第116条の規定の適用をうけ、裁決権のみを有する。
 

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