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2022.11.10 議会運営

第86回 表決における白票の取扱いについて

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明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦

表決における白票の取扱いについて

Q本会議において長提出議案に対する過半数議決による表決で、無記名投票により表決を行ったところ、白票が投じられた上、白票を除いて可否同数となった。なお、この場合の可否の合計数は、議員定数の半数未満であった。この場合、議長は地方自治法(以下「法」という)116条1項における裁決権を行使することができるか。

A

白票とは、議員が表決に付された問題に対し、賛否を明らかにしない投票をいい、特に規定がない場合は無効票として取り扱うこととなる。なお、白票は法律上禁止規定がないため、議員が白票を投じることを禁止することはできない。
 白票は標準市議会会議規則(以下「市会議規則」という)73条における無記名投票において生じるほか、青票・白票方式を採用していない記名投票においても投票用紙に氏名及び賛否を記載する方法において生じ得る。
 なお、白票の取扱いについては市会議規則73条2項と同様に、「無記名投票による表決において、賛否を表明しない投票及び賛否が明らかでない投票は、否とみなす」と規定している場合は、無効票ではなく反対票としてみなすこととなる。

【市会議規則73条】
② 無記名投票による表決において、賛否を表明しない投票及び賛否が明らかでない投票は、否とみなす。

 ただし、市会議規則73条2項の規定を会議規則に設けることについて、白票の本質に反し、正確な表決者の意思を議会に反映することが困難であるという観点から、本規定を会議規則に規定すること自体に問題があるとする考えがあるが、白票の取扱いを明確にし、案件に対する可否を明確にする観点から、市会議規則73条2項における取扱いをすることが違法とまではいえない。
 ここで、設問のように過半数議決における表決において、棄権及び白票がある場合には次の三つの問題点が生じ、各議会において棄権及び白票をどのように取り扱うかによって議会における議決に影響を与えることとなるので留意が必要である。
すなわち、棄権票及び白票の取扱いについては、(1)行政実例説、(2)高松高裁判決説、(3)長野士朗説の三つの見解がある。
 そして、(ア)法116条1項における「出席議員」に棄権、白票議員を含むのかどうか、(イ)法116条1項における議長裁決権を行使する際の前提となる「可否同数」には棄権や白票があるときを含むのかどうか、(ウ)表決に当たり棄権や白票が多数ある場合に、法113条における議員定数の半数以上の議員の出席を要件とする定足数の問題が生じないか、という三つの問題点がある。

【法113条】
普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。(略)
【法116条】
① この法律に特別の定がある場合を除く外、普通地方公共団体の議会の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 それぞれの説に従った問題点における考え方は次のとおりである。

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