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2022.10.27 政策研究

第31回 多数性(その5):自治体間連絡協議会

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地域産業型

 地域環境の中でも、地域社会の経済環境を規定する様々な地域産業の特徴は、自治体間連絡協議会にとって重要なテーマである。日本の自治体は、一般に地域振興を政策目標に掲げることが多く、特に、地域産業のあり方は、地域振興という政策追求にとって、重要な要素であるからである。
 例えば、「全国和装産地市町村協議会」は、地域の和装産業の不況という環境のもと結集した自治体間連絡協議会である。1974年9月に、京都市、桐生市、十日町市、名瀬市(現奄美市)の議会関係者と行政担当者が、和装産業の不況に対処し、その振興を図るべく懇談して、「全国の和装産地都市の議会と行政が和装振興のために連携し、活動する組織の設置が必要である」との点で一致したことが契機である。そして、この4市の呼びかけにより、同年10月7日に「和装産業振興都市協議会」が発足した。1986年以降、京都府丹後地区の1市10町などが加盟し、その後、平成の合併などにより、現在は13市2町で構成されている(8)。なお、1991年7月に名称を現在の「全国和装産地市町村協議会」に変更した(9)
 あるいは、「全国ボート場所在市町村協議会」は、ボート場を備えた市町村で構成される団体である(10)。1987年6月に福井県美浜町・綿田光雄町長(当時)が、ボートによるまちおこしを中部漕艇連盟・鎧塚一理事長(当時)へ打診した。同席していた中部漕艇連盟の中島普及部長から、下諏訪町で6年前より国民体育大会のボート競技場の遺産を守り「まちおこし」を行っている旨の説明があり、年内に下諏訪町の視察を行うことと決した。その後、中部漕艇連盟は、美浜町、石川県津幡町、新潟県津川町(現阿賀町)・両津市(現佐渡市)、長野県下諏訪町、岐阜県川辺町、三重県大台町、静岡県天竜市(現浜松市)、愛知県東郷町に参加願いを送付したところ、加盟承諾の返事が得られ、中部漕艇連盟傘下の第1回漕艇場所在市町村協議会の結成をみるに至った(中部圏9市町村)。
 1989年の第2回全国漕艇場所在市町村協議会には、前年オブザーバー参加した秋田県本荘市が正式加盟し、千葉県小見川町(現香取市)、鳥取県米子市も新規加盟した。当初、中部漕艇連盟の傘下で開催されたこの協議会も、他のブロックに拡大したことから、「全国漕艇場所在市町村協議会」の名称に改めた。さらに、下諏訪町長より、加盟自治体の全国交流レガッタの開催が提案され、その後、費用などの検討が進められ、1992年10月に、美浜町において第1回全国市町村交流レガッタが開催された。なお、同年8月には、名称が「全国ボート場所在市町村協議会」に変更された。
 また、「全国民間空港関係市町村協議会」は、民間空港(民間航空機が発着する空港)が所在する市町村又は民間空港に関連のある市町村等をもって組織されている。加盟市町村が有する民間空港関連の各種の問題を総合的に調査研究し、これを解決するための方策を推進することを目的に活動している。1967年に発足し、それ以来、伊丹市長が会長を務めている(11)。加盟市町村は、73空港・97市区町村(67市・1区・27町・2村)である。例えば、大阪国際空港(伊丹空港)に関しては、伊丹市のほかに豊中市・池田市・川西市・宝塚市が加盟している。この団体は、沿革からも会長からも、またウェブサイトの所在からも、伊丹市が主宰しているといえよう。

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