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2022.10.27 政策研究

第31回 多数性(その5):自治体間連絡協議会

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東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之

はじめに

 2022年10月4日~5日に、第9回全国コンパクトタウン議会サミットが、香川県宇多津町で現地対面開催された。サミットのテーマは、「地方議会のSDGs」であり、基調講演のほかに、①地域のSDGs、②議会のSDGs、③女性議員のSDGs、という三つの分科会があった。全国コンパクトタウン議会サミットは、2009年11月5日に、第1回サミットが10町議会47議員を集めて宇多津町で開催されてから、ほぼ毎年のように開催されている。第8回が2018年5月22日に12町議会98議員を集めて、大阪府泉南郡田尻町議会をホストタウンとして開催されたが、コロナ禍などを挟み、4年ぶりの開催である。
 全国コンパクトタウン議会サミットは、「小さい町だからこそ誇れるもの」や、「小さい町だから悩むこと」など、同じ考えを持つ自治体が必ずあるとの思いから発案され、2009年から開催されているものである。具体的には、自治体面積20平方キロメートル以下の町(全国92の町がある)を対象に呼びかけて、「小さくてもキラリと光る町、小さくても頑張る町」が一堂に会して、議員による手づくりで開催・運営されている。
 ひと口に「コンパクトな町」といっても、地理的条件、財政規模、政策の手法など環境は様々である。しかし、その違いや共通項を発見することで議論が生まれる、とのことである。この全国的な規模での交流により、それぞれの町が未来へ向けてのまちづくりのヒントを見つける場とするという狙いである(1)
 自治体議会が主導して、他の自治体議会に働きかけて、自治体間の連携・協議の場を持つのは、必ずしも一般的ではない。とはいえ、同じような環境や課題を背景に、それを共有する自治体間(だけ)で、何らかの集団を形成することは、広く見られる。自治体の特徴は多数性であるが、その中で、特定のテーマに絞って、限られた数ではあるがそれなりの多数の自治体で連携をする現象が見られる。そして、それは、近隣という近接性による連携ではなく、テーマ性であり、広がりは全国に及ぶ。全国の広い範囲で、共通関心で結ばれた自治体間の連絡・協議の場である。今回は、こうした連携を、とりあえず「自治体間連絡協議会」と呼んで、取り上げていきたい。
 なお、自治体間連絡協議会は、基本的には、市区町村レベルに特徴的に見られる。というのは、都道府県レベルでは、特定のテーマに絞っても、結局、ほとんど全ての都道府県に共通して存在することも多いからである。とはいえ、都道府県が特定テーマに絞って、限られた数で連携することを必ずしも排除するものではない。また、特定テーマに即すれば、都道府県も市区町村も、区別することはないかもしれない。ともあれ、以下では、主に市区町村レベルの自治体間連絡協議会を念頭に検討してみたい。

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