2022.10.25 なり手不足
第13回 議員のなり手不足と主権者教育
議員のなり手不足の現状とその要因
町村等の小規模議会を中心に、議員のなり手不足の問題は深刻だ。2019年に行われた統一地方選挙。総務省選挙部の調査によると、選挙があった375町村議会のうち、93議会(24.8%)が無投票となり過去最高の数字だった。うち8議会では立候補者数が定数割れとなっている。そうしたことから、無投票になった議会を中心に、議員のなり手不足について、調査研究をする議会も増えてきている。
大正大学の江藤俊昭教授は、議員のなり手不足の要因を、「魅力の減退」、「条件の悪さ」、「地域力の減退」、「法制度の拘束」の4点に整理している。
「魅力の減退」とは、そもそもの政治への無関心、議会、議員に対するネガティブなイメージ、議会活動が不透明、不活発等が挙げられる。「条件の悪さ」とは、議員報酬の低さ、議員定数削減による落選リスク、選挙費用の負担等が、「地域力の減退」とは、地域の少子化、人口減少の問題、コミュニティ活動の不活性化、青年団等、地域の若者の活動の不活発化等が、「法制度の拘束」とは、兼職・兼業禁止、25歳の被選挙権年齢、女性議員の支援制度(出産、育児等)の不足等が考えられる。
今回は、その中でも、「魅力の減退」の解決策として、主権者教育の重要性について、筆者が今年度、勤務校の系列の青森山田高校のキャリアアップコースの1年生10人を対象に実施した、高大連携授業を事例に考えていきたい。
主権者教育の連続授業で生徒の政治、選挙への関心を高める
この授業の一番の特徴は、単発型ではなく、連続型の主権者教育プログラムであることだ。主権者教育として、議会傍聴、模擬議会、模擬選挙等を単発に行うことがよくある。それはそれで効果はあると思うが、今回は、①若手地方議員との対話、交流、②青森市議会の議会傍聴、③スマートフォンを活用しての参院選のリアル模擬選挙、を連続して行っている。三つのプログラムをインターバルを空けて多面的に体験することで、政治、選挙、議会、マニフェスト(政策)についてより身近に感じてもらうことを狙いとした。
まず第1回(5月19日)として、選挙で選ばれた政治家(地方議員)がどんな人で、どんな仕事をしているのか、理解を深めるため、山本知也青森県議会議員、竹内博之弘前市議会議員に授業に来てもらい、直接話を聞き、対話を行った。生徒たちに政治家を身近に感じてもらうきっかけとなった。
議員と少人数で交流
若手地方議員との集合写真
次の第2回(6月16日)には、実際の地方議員の仕事ぶりを見てもらうために、青森市議会の議会傍聴に行った。長谷川章悦議長を表敬訪問し、議会事務局長から議会の説明を受けた後、本会議、委員会を傍聴した。会議終了後、本会議場の見学を行った。委員会で、地元の中学校の体育館の改修工事の議論がされる等、議会で自分たちの身近な問題が議論されていることを知ることができた。
議長室で議会についての説明を聞く
議場で記念撮影