2022.10.25 議会改革
第32回 自治体議会を支える─議会事務局のあり方探見─
6 住民と議会事務局
自治体議会は、住民自治を担う機関として、住民の参加や住民との協働に積極的に取り組むことが求められていることは、本連載でもしばしば述べてきた。そして、その役割を主に担うのは、住民の代表である議員であることはいうまでもない。
しかし、そのことは、議会事務局はそれをただ補佐する受け身の姿勢でいれば足りるということを意味するものではない。
例えば、各地の議会で、議会報告会や意見交換会などが行われるようになっているが、そのコーディネートを行ったり、継続的な取組みを行ったり、議会の活動にその成果を活用するためには、事務局の役割が重要となる。また、議会に対する住民の関心を高め、その参加を促進するためには議会情報の発信・提供が必要不可欠となるが、実際にその役割を担っているのは事務局である。2020年の総務省「地方議会・議員のあり方に関する研究会報告」も、議会と住民との意思疎通が議会への住民参加の前提になるとし、議会や議員の活動に関する情報が、議会事務局のホームページやオープンデータサイトで得られるという環境づくりが重要であり、事務局においてそのような情報発信能力を高める体制を構築することが必要と指摘して、技術やデータを活用した情報発信力の充実を求めている。
このように、議会が住民と向き合うに当たっては、事務局の姿勢や対応が一つの鍵となってくるのであり、事務局は、議会と住民とを継続的につないでいく役割を果たすことが求められているといえる。事務局は、基本的には黒子役ではあるが、住民との関係においては、その立ち位置を踏み外さない限りではあるものの、前面に出ることがあってもよいのではないだろうか。そのことが、住民と議会との垣根を低くし、継続的な関係の構築にもつながりうるといえるだろう。