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2022.10.11 政策研究

第10回 政策(平和・コミュニティ・学習・文化・芸術・学校・給食・人権)と自由・権利

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「法に叶(かな)い、理に叶い、情に叶う議論」

 人権を守るためには、政策の実施に当たって、「法に叶い、理に叶い、情に叶う」(3)ことが求められる。この言葉は、1964年の「蜂の巣城」の強制執行を目前にして、日田市で開かれた講演会で室原知幸が述べた言葉である(http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=235〔2022年8月10日確認〕)。議会には、「法に叶う」ことを一方的に優先させるのではなく、「情に叶う」ことも配慮した判断が求められる。すなわち、議会には、情を生かせる正当な理由を考え、情を生かせる条例を制定することが求められている。情を生かしてこそ、理や法が生きてくるということである。
 室原は、激しい反対闘争の過程においても、ダム完成を予見して、完成後の地域のあり方及びその対策についての構想をいろいろと巡らせて、当時の建設省に対して要求を提示し、それを実現している。例えば、将来、隣接する杖立温泉を結んでダム周辺の観光立地を考え、ダムの周遊道路の建設、川の両岸を結ぶ立派な橋の建設を要求し、それが周囲の緑と水に調和するように橋の色にも注文をつけた。また、杉林を切り開いて地肌の見える道路をつくることに反対し、工費はかかっても対岸から見たとき、緑の杉木立が美しく水に映えるようトンネルにせよといった要求である(http://ayu.xii.jp/miku10/mikuma14.htm〔2022年8月18日確認〕)。このように、室原は事業目的そのものが公共の利益を達成するばかりでなく、それに関連する周辺住民の福祉が併せて考えられなければならないという固い信念を持っていたのである。
 議会には、室原の構想力、交渉力、信念に学ぶことがあろう。

「視点を変える」、「市民・議会・行政・講師との議論」

 構想力、交渉力、信念を学ぶため、議会にはときに視点を変えることが求められる。視点を変えるには、平和・コミュニティ・学習・文化・芸術・学校・給食・人権等の政策により、「議会の文化化」ないし「自治体政府(議会・行政)の文化化」を進めることが肝要である。1980年代に起きた「行政文化の自己革新」としての「行政の文化化」は、2000年代に入って「議会文化の自己革新」としての「議会の文化化」(本連載第6回参照)の時代に入った。今は議会と行政が互いの自己革新や政策を競争する時代に入っている。
 議会が自己革新や政策作成等で力を発揮するためには、違う分野のスペシャリストを講師に招くことも一策である。違う分野のスペシャリストを講師に招くことで、思わぬ視座が得られるかもしれない。議会だけでなく、市民、行政と話し合って講師を招くことも大切である。そこには、市民・議会・行政・講師の間での有意義な議論が期待される。

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