2022.10.11 政策研究
第10回 政策(平和・コミュニティ・学習・文化・芸術・学校・給食・人権)と自由・権利
「問う」ことは学習の基本、学習の成果を生かす、学習は安心・元気・勇気・希望をもたらす
学習には「問う」ことが必要である。「問う」ためには、①比較すること、②内部・外部の視点からチェックすること、③物事には両義性や多義性があることを認識すること、が求められる。これらは、学習の基本である。
では、「問う」ことによって得た学習の成果(=経験的知見)を議会はどう活用することが求められているのだろうか。一つの議会が得た経験的知見を一つの暗黙知(経験に基づく主観的な知識、言語化されていない知識)から多くの議会の形式知(主観的な知識を文章や図を活用して言語化した知識)へといかに転換させるか、これが自治体議会全体の今後の課題といえる。さらに議会には、得た議会の形式知を市民の形式知へと広げることも求められている。
学習は、議会の不安を解消し安心をもたらす。元気・勇気・希望を与えてくれる。「市民とともに議会には夢がある」ということを、改めて気づかせてくれる。
文化・芸術・学校
文化・芸術には、茶道・華道・俳句・短歌・絵画等、様々なものがある。建築・橋梁(きょうりょう)・公園・都市計画も文化・芸術に含まれる。文化・芸術の大家の言葉を自らの「座右の銘」としている人も少なくないであろう。「座右の銘」は、先人の追体験にもなり得る。
ここでは、二つの「座右の銘」を紹介する。一つは、千利休の言葉といわれる「守・破・離」である。「守」は伝統を守る、「破」は伝統を吟味する、「離」は離れて一家をなす、ということである。もう一つは、宮大工の棟梁(とうりょう)として有名な西岡家の家訓を大森彌が分かりやすく表した言葉で、「塔は木組み、木組みは木のくせ組み、木のくせ組みは人組み、人組は人の心組み、工人の非を責めず、我が身の不徳を思うべし」というものである。前段(青字)は組織論であり、後段(赤字)は管理職論であるとされる(大森 1987:240-241)。様々な特徴のある資源(木材や建築技術等)を活用するためには、人の心を組み、自己に「他者への寛容の精神」と「自己責任への厳しいまなざし」が求められるという内容である。これらのことは、議会・議員において、市民や行政との関係や、内部の議会運営にも当てはまる。なお、議会としての「座右の銘」を定めることも一策であろう。
さて、茶道・華道・俳句・短歌・絵画・建築・橋梁・公園・都市計画等は、往々にして、花鳥風月等の自然と関連性がある。人間は自然の一部であるから、このようなことを求めるのかもしれない。他方で、人間は思いや意思があるから、このようなことを求めるのかもしれない。そして、人間は思いや意思がある場合には、それを実現するために「学ぶ」。「学ぶ」方法には、独学や、塾に行く・学校に行く等、選択肢がある。このことは、茶道・華道・俳句・短歌・絵画・建築・橋梁・公園・都市計画等をはじめとする文化・芸術に多様性をもたらす。多様性を確保するためには、選択肢を選ぶ機会が均等であることが求められる。すなわち、選択肢の自由が前提となる。