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2022.09.26 政策研究

第30回 多数性(その4):類似団体

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全団体と平均値

 類似団体内部の相互比較では、行政権能・人口規模・産業構造が類似しているので、それ以外の要因によって、平均からの差異が生じると想定される。この場合、いかなる尺度(指標)をもって平均や差異を明らかにするのかは、なかなか難しい問題である。そして、このような尺度は、実は類似団体間や類似団体を無視して、全国又は都道府県内に一律に適用して、類似団体ごとの平均とは異なる別の全団体平均を出すこともできる。
 こうした指標としては、財政力指数、経常収支比率、ラスパイレス指数、人口1,000人(都道府県は10万人)当たり職員数、人口1人当たり人件費・物件費等決算額などがある。また、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率という、地方公共団体の財政の健全化に関する法律(いわゆる「財政健全化法」)の健全化判断比率4指標を用いることもある(6)

平均値の母集団

 上記のとおり、類似団体による財政分析では、「平均値」が重要になってくる。自治制度官庁(総務省)によれば、「類似団体平均」と「グループ平均」があるという。「類似団体平均」とは、類型における選定団体による各指標の平均値である。グループ平均とは、グループにおける各団体による各指標の平均値であるという。ここで問題となるのは、選定団体なるものである。選定団体とは、「標準」的な財政運営を行っている市町村として、以下の「基準」によって選定される。
 ① 原則として、2016(平成28)年4月1日以降において、大規模な合併が行われていない。
 ② 2020(令和2)年度及び2019(令和元)年度の決算の実質単年度収支において著しく多額の赤字を生じていない。
 ③ 2020(令和2)年度決算の実質収支において、著しく多額の赤字を生じていない。
 ④ 2020(令和2)年度決算において地方債の元利償還金が財政の著しい負担となっていない。
 ⑤ 2020(令和2)年度の財政構造に著しい変化を与えるような災害等の特殊事情が生じていない。
 ⑥ 2020(令和2)年度決算において、収益事業収入が著しく多額となっていない。
 要するに、「異常」な症状を来している自治体を排除して、「平均」を出そうというものである。
 このほか、都道府県市町村平均、全国市町村平均、都道府県平均もある。都道府県市町村平均、全国市町村平均とは、それぞれ各指標に関する各都道府県内の市町村(特別区を含む)の平均値、全国の市町村の平均値である。ただし、財政力指数及び経常収支比率については、特別区を除くという。都道府県平均とは、各指標に関する全都道府県の平均という。
 そして、各指標の平均値は、原則、加重平均により算出している。ただし、財政力指数とラスパイレス指数のうち、政令指定都市・特別区を除く市町村や、都道府県の類似団体平均は、単純平均により算出しているという。

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