2022.09.12 議会運営
第85回 本会議の開催延期について
①の法4条の2における休日としての休会は、一般社会の構成員としてその慣習に従うことによる休会である。このため、特に何らの手続を要しない。
②の市会議規則10条2項における議決による休会は、議事の都合その他必要があるときの議会の意思による休会である。これは議会の意思決定に基づくため、手続として議決を要するものである。
③の自然休会とは、本会議で審議すべき案件がないとき又はその他の理由によって本会議を開くことが不適当な場合に、議事日程作成権を持つ議長が議事日程を定めないことによる休会である。この休会は、手続としては議決や宣告を要せず、議長が議事日程を作成しないという不作為によって生じる事実上のものである。
これら市議会における休会は法上規定がなく、市会議規則に委ねられている。
【市議会規則10条】
① 市の休日は、休会とする。(参考)
② 議事の都合その他必要があるときは、議会は、議決で休会とすることができる。
③ 議長が特に必要があると認めるときは、休会の日でも会議を開くことができる。
④ 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第114条第1項の規定による請求があった場合のほか、議会の議決があったときは、議長は、休会の日でも会議を開かなければならない。
本問において、審議予定表に基づき質問日として本会議を開く予定であった日に台風が到来する可能性が高いとして、当該日の本会議を開催せず、翌日以降に本会議の開催を延期する方法としては、まず台風が到来する質問予定日に本会議を開かない手続をとる必要がある。議事運営手法としては、市会議規則10条2項による議事の都合その他必要があるときとして、本会議を開催し、議会の議決により休会とする方法又は自然休会とする方法が考えられる。
しかし、一般的に台風が到来することが確定するのは、延期しようと考える本会議の日程の直前であることが想定され、その日に本会議が開催されていれば休会の議決をすることは可能であるが、本会議が開催されていなければ休会の議決を行うことはできず、そのためだけに本会議を開催するということは実務上困難である。そのため、自然休会により対応するのが妥当である。
定例会又は臨時会で本会議を開催する予定日を自然休会とした場合、それに伴い休会の議決をした日に本会議を延期することとなるが、この議決した休会日に本会議を開催する場合は、市会議規則10条3項により議長が特に必要があると認めるときとして会議を開けばよい。
ちなみに、そもそも休会の議決をしていない本会議を、開催する予定としていない日に開催するのは、議長による日程作成・配布をすれば何らの手続を要することなく法的には可能である。
以上のように、必要に応じ定例会又は臨時会での本会議の開催はいかようにでも対応が可能であるので、柔軟に議会運営をすることができる。