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2022.09.12 政策研究

第9回 政策(福祉・保健・医療・保険)と「分配」

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健康・保健

 日本人の死因上位は、三大疾病といわれる「がん」、「心疾患」、「脳血管疾患」である。がんの主なリスク要因は喫煙である。心疾患や脳血管疾患はいずれも動脈硬化から起こるが、動脈硬化のリスク要因は高コレステロール、高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、運動不足、ストレスであるとされる。したがって、生活習慣を改善することで三大疾病による自らへのリスクを下げることができる。しかし、生活習慣の改善がいまだ不十分であるという課題が、健康・保健政策にはある。
 そのような状況下、近年では受動喫煙を防止する条例が制定されている。例えば、福山市議会では、「福山市子ども及び妊婦を受動喫煙から守る条例」が議員提案され、2018年4月1日から施行されている(https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/soshiki/gikai/243639.html〔2022年7月5日確認〕)。また、埼玉県議会では、「埼玉県受動喫煙防止条例」が議員提案され、2021年4月1日から施行されている(https://www.pref.saitama.lg.jp/a0704/kitsuentaisaku/jourei.html〔2022年8月20日確認〕)。
 このような取組みは、健康寿命を延ばすことにもつながる。厚生労働省の「健康寿命の令和元年値について」(2021年12月20日:第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会)によれば、四捨五入した健康寿命は男性73歳、女性75歳となっており、平均寿命が男性81歳、女性87歳となっていることと比べると、男性は8歳、女性は12歳の差がある。このことは、人生最後の約10年を非健康(=不健康)に過ごすということでもある。不健康を経験することで人生の味わいを知ることもあろうが、やはり健康寿命は延ばしたいものである。もちろん、歯の健康も健康寿命に影響を及ぼす。そして、歯周病は生活習慣病でもある。

「救急医療・一般医療・専門医療」、「プライマリーケア医」、「緩和ケア病棟」

 救急医療に求められる専門知について考えてみよう。救急医療には、救命医として持つ救急医療技術やトリアージ等の専門知が必要であるが、他にも専門知が必要になる。それは、救急医療ではない診療科目の医師が持っている専門知と、非臨床分野の医師が持っている基礎・基盤的専門知である(図2参照)。これらの専門知が相まって救急医療の成果が上がり、市民を救うことができる。
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出典:筆者作成
図2 救急医療において求められる専門知の循環

 また、一般医や専門医は、時間をかけて慎重に診察するため、ある程度は心が分かる患者が対象となる。他方、救命医は、緊急の患者が相手であり、そのため患者の心が読めない中で治療することも少なくないという違いがある。救急医療には、このような難しさがある。
 なお、市民にはプライマリーケア医を探しておくことが求められている。プライマリーケア医には、患者の心身を総合的に診て、初期段階での健康状態の把握や一時的な救急処置、日常的に見られる病気治療、訪問診療等を行い、場合によっては患者を専門医に紹介する役割を担うことが期待されている。
 なお、入院したがん患者らの心身の苦痛を和らげる「緩和ケア病棟」が増加の一途をたどっている。特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会の調べによると、医療制度化された1990年度は全国に5施設であったが、2019年11月時点で431施設となり(https://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/202003/0013212162.shtml〔2022年7月4日確認〕)、2021年11月時点では457施設と増え続けている(https://www.hpcj.org/what/pcu_list.pdf〔2022年8月4日確認〕)。

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