2022.09.12 政策研究
第9回 政策(福祉・保健・医療・保険)と「分配」
地域包括ケアシステム構築の背景とプロセス
本節では、厚生労働省ホームページ「地域包括ケアシステム」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/〔2022年7月4日確認〕)から、「地域包括ケアシステムを構築する背景」と「地域包括ケアシステム構築のプロセス」を確認する。
日本は諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進んでいる。65歳以上の人口は、現在3,500万人を超えており、2042年の約3,900万人でピークを迎えるが、その後も75歳以上の人口割合は増加し続けることが予測されている。このような状況の中、団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれている。
このため、厚生労働省においては、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的として、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を進めている。このシステムは、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されることを目指している。
今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築は重要とされる。人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部というように、高齢化の進行状況には大きな地域差が生じている。
そして、地域包括ケアシステム構築には、地域の課題の把握と社会資源の発掘、地域の関係者による対応策の検討、対応策の決定・実行、さらにはそれらのPDCAサイクルというプロセスが求められている(図1参照)。
出典:厚生労働省ホームページ「地域包括ケアシステム」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/〔2022年7月4日現在〕)
図1 市町村における地域包括ケアシステム構築のプロセス(概念図)