2022.08.25 議会改革
第31回 議長という立場・役割
6 議長の任期
地方自治法では、議長・副議長の任期は、「議員の任期」によるとしており、議会の一般選挙後に選挙された議長・副議長であれば、任期は4年となる。
一方で、議長・副議長は、議会の許可を得て辞職することができ、副議長は、議会の閉会中においては、議長の許可を得て辞職することができる。議長の場合には、議会の許可を要するため、辞職できるのは議会の開会中に限られることになり、閉会中の辞職は認められない(22)。
そして、実際には、会派間や会派内の申合せや慣例に従い、短い期間で議長・副議長が辞職することにより交代している議会が少なくない。市議会活動実態調査によれば、2020年中において、815議会のうち639議会(78.4%)で議長の任期について申合せや慣例があり、それらのうち、任期1年としているのが185議会(29.0%)、任期2年が445議会(69.6%)、任期4年が9議会(1.4%)となっている。また、町村議会については、全国町村議会議長会の「第67回町村議会実態調査結果」によれば、2021年7月1日現在、議長の任期の運用につき、法定の「4年」としているのが500町村(54.0%)、「2年」が368町村(39.7%)、「1年」が40町村(4.3%)である(23)。
短い期間での交代は地方自治法の規定の趣旨からは好ましくないとの指摘もあるが、議員の間では、その地位や報酬・待遇の高さなどから、議長は名誉職との意識が強くあり、多くの人が議長職を経験できるように短い期間で交代するようにしているのが実情といわれる。副議長に就任した議員は議長候補にしないとの申合せを行い、議長・副議長のポストの両方を配分対象としているところもあるという。これに対し、議長・副議長の職は、議会において最も重要なポストであり、これに最もふさわしい人が就くべきであって、会派内の都合などで安易に交代制をとることが議長の権威を低下させ、議会の権威のためにも好ましくないとの批判なども見られ、議会改革の一環として短期交代の申合せや慣例を見直す動きもある。
議長や副議長に対して不信任決議や辞職勧告決議がなされることもある。その理由は様々であるが、中には、議長が任期の申合せや慣例に従わず辞職しないことから、不信任決議等がなされるといった事例もあるようだ。
ただし、それらの決議は事実上のものにとどまり、法的効果が生じるわけではない(24)。議会の不信任決議により議長の職を失うことを会議規則で規定するのは、違法と解されている(25)。また、不信任決議や辞職勧告決議に議長が従わないことを理由に除名等の懲罰を科そうとする動きも見られるようだが、仮に除名処分に付して、それが争われることになれば、懲罰事由に当たらないとして審決や裁判で取り消される可能性が高いといえる(26)。