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2022.08.10 政策研究

第8回 政策(世界共通文化・地域個性文化による地域経済)と寛容

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「良心の呵責」を感じないままに謬ある経済・経営に陥らないために

 民法1条2項は、「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」と規定する。個人も企業も、相手方の持つ信頼を裏切らないように行動することが求められる。この「信義誠実(信義則上)の原則」が間違いの少ない社会をつくり出す。
一方、個人も企業も、相手方の信頼を得られれば、信頼に基づく共感が生まれる。信頼と共感は相乗効果を生む。このような関係は経済でも求められる。例えば、社会全体として、事故の可能性がある原子力発電を使用せず、自然再生エネルギーを使用することは、事故の被害を受ける可能性のある地元住民からの共感を得られるのではなかろうか。このことは、今を生きる人々が、将来世代からの信頼に対する責任を果たすことでもある。
 そして、責任を果たすためには、情報の非対称性があってはならない。自然再生エネルギーにも利用に当たっての留意点がある。例えば、太陽光発電には木の伐採やそれに伴う土石流発生、廃棄物処分等の問題があり、風力発電には風力塔の転倒や磁気の発生等の問題もあるという。これらの留意点を踏まえ企業も、国も、自治体政府も、それぞれの企業戦略や政策を実施することが必要となる。しかしながら、情報の非対称性があり、情報が伝わってこないと、「良心の呵責(かしゃく)」を感じないままに謬ある経済・経営に陥ってしまう。

寛容の効用

 前述したように、社会には寛容が求められる。寛容がなければ、社会はギスギスし、円滑に機能しないからである。では、寛容には、どのような効用があるのだろうか。ここでは、期待される寛容の効用を示すが(表7参照)、このような寛容の効用を意識した議員活動が期待される。
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出典:筆者作成
表7 期待される寛容の効用

寛容に期待するが、寛容には難しさもある

 人もコミュニティも政府(自治体政府・国・国際機構)も謬(びゅう:間違い)を起こす。したがって、「千里の道も一歩から」という努力が必要となる。努力し道を歩いていると、妨害されることもある。しかし、妨害した相手を肯定する心である寛容さに期待したい。
 ところで、人は何の目的で働くのだろうか。非営利活動法人に限らず、営利法人であったとしても、自己を含め多くの人々の幸せを図ろうとすることが目的ではなかろうか。もちろん、自治体の主な関係者・当事者である個人(市民・議員・首長・職員)も組織(議会・行政)も、同じように自己を含め多くの人々の幸せを図ろうとすることが目的で活動しているといえよう。
 さて、寛容は個人や組織の非自己中心主義・善意とつながるものであるが、ややもすると相手の自己中心主義・悪意によって無下にされてしまう。非自己中心主義を持っていた主体が、自己中心主義に陥ることもある。このように、寛容には難しさもある。

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