2022.08.10 政策研究
第8回 政策(世界共通文化・地域個性文化による地域経済)と寛容
求められる余裕のある経済
余裕のある経済は、急激な変化への対応力を高める。例えば、新型コロナウイルス感染症対応として、企業の経営を継続させるために、従業員の削減を実施した企業も少なくなかった。そのため、新型コロナウイルス感染症対応が好転してくると、従業員の採用が新たな課題となった。
電力の供給についても、余裕が必要である。気候の変動期にあっては、特に余裕が必要となる。余裕がない以上、電力を使う産業では一時的にでも仕事を止めざるをえなくなる。今日では、ほとんどの企業が電力を必要とするはずである。ゆえに、電力なくして新たな産業の立地はできないし認められない。このことは、道路、公園、調整池などの都市基盤整備がなされていない場合には、新たに宅地をつくり建物のビルドアップをすることが認められないという成長管理の考え方と同じ意味合いがある。
産業とサードセクター
短期的な経済的利益の最大化を目指すビジネスではなく、温暖化などの問題を解決するビジネスが求められている。そのようなビジネスには、サードセクターによるものもある。
サードセクターとは、政府であり強制力を持っている第一セクターや民間営利企業で行動の自由がある第二セクターとの対比で考える第三セクターの意味である。サードセクターは、政府ではなく強制力を持たないが、非営利組織(NPO・NGO等)である。例えば、特定非営利活動促進法(NPO法)の別表には、表4に示す法人目的がうたわれている。
出典:特定非営利活動促進法別表(第2条関係)
表4 特定非営利活動促進法に示された法人目的
また、NPOの形態・求められるもの・収入を、ボランティア・政府と比較すると、表5のようになる。特徴的なことは、NPOの収入源(財源)は、個々のNPOによっても違いがあろうが、寄附のような不安定財源比率が高いということである。
出典:筆者作成
表5 NPO・ボランティア・政府の「形態」、「求められるもの」、「収入源」の比較