2022.07.25 議会改革
第30回 議員報酬を考える─議員報酬をめぐる議論と動き─
3 議員報酬の額
議員報酬の額については、条例で定めるものとされているが、何か基準があるわけではなく、また、多くの自治体では、月額で支給されている。
ちなみに、国会議員の歳費については、憲法で「相当額の歳費」とされ、これを受けて国会法では「一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く。)より少なくない歳費」と規定されている。これは、一般職の国家公務員の俸給額が経済事情の変化など給与を決定する諸条件に適応するように定められるのに基準を求めながら、同時に従来旧憲法下において議員の地位・待遇が官吏に及ばなかったことを改め、その地位・待遇を最高機関たる国会の構成員に値するように高めるという思想の現れでもあるといわれる(15)。これにより、現在では、各省の事務次官の俸給額より高い額が「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」で定められている。
自治体議会の議員報酬の平均月額は、都道府県議会議員が2021年4月1日現在で82万2,270円(議長98万2,777円、副議長87万8,545円)であり、最も高いのが愛知県の97万7,000円、最も低いのが大阪府の65万1,000円となっている(16)。また、市議会議員は、2020年12月31日現在で42.0万円(議長51.5万円、副議長45.5万円)であり、人口段階別では、5万人未満では33.2万円であるのに対し、50万人以上では71.7万円であり、人口が多くなるに従い月額が多くなる傾向が見られる(17)。これに対し、町村議会議員の報酬月額の全国平均は、2021年7月1日現在で21万6,542円(議長29万4,168円、副議長23万8,538円)である(18)。なお、福島県矢祭町は、議員報酬の日額報酬制(日額3万円)を採用している。また、既に廃止されたものの、熊本県五木村の一般議員報酬の2割を議員の働きに応じて支給する成果報酬制、長崎県小値賀町の50歳以下の議員に限り報酬の引上げを行うなどの取組みも見られる(19)。
ところで、議員報酬額をめぐっては、1960年代の高度成長を背景とした大幅な引上げの動きとお手盛り批判の中で、自治省がその抑制に乗り出し、そのような中で、様々な駆け引きがなされることになった。