2022.07.25 議会運営
第84回 訴えの提起と応訴
明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦
訴えの提起と応訴
第三者より訴訟の提起が地方公共団体に対して行われ、それに対して当該地方公共団体が応訴する場合、地方自治法(以下「法」という)96条1項12号の議会の議決を要するのか。また地方公共団体が応訴した後、和解した場合、同様に議会の議決を必要とするのか。さらに原告の控訴に伴い地方公共団体が附帯控訴をする場合、議会の議決は必要か。
地方公共団体の議会は、法96条1項12号により、普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起、和解、あっせん、調停及び仲裁に関することについて議決権限を有している。
この規定は、地方公共団体が民事上又は行政上の争訟及びこれに準ずべきものの当事者となる場合には、地方公共団体に係る紛争解決に当たっては、多額の財政支出を伴う場合も予想されるので、その紛争解決の方法の採用とか、その内容については地方公共団体の団体意思の確認という意味から議会の議決事件とされているといえる。
【法96条】
① 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
12 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第3条第2項に規定する処分又は同条第3項に規定する裁決をいう。以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第3項において同じ。)に係る同法第11条第1項(同法第38条第1項(同法第43条第2項において準用する場合を含む。)又は同法第43条第1項において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第3項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。