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2022.07.11 政策研究

第7回 政策(減災)と安心・不安

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ピンチを生かす

 廣瀬克哉は、非常時への対応の経験から、積極的な側面も見つけ出し、それを今後に生かすということも、この機会を捉えて追求したいところであるという。例えば、これまで議会報告会等にはあまり足を運ばなかった比較的若い人たちが、オンラインでの報告会には参加してくれたという報告が散見されるとし、このような成果を今後さらに発展させていくことも期待したいという(廣瀬 2021:3)。
 確かに、議員や議会に関心を持つ市民・団体・研究者等や議会・議員自らによるオンライン配信やオフラインとの同時配信が、新型コロナ発生以降は大きく広がっている。オフラインによるフェイス・ツウ・フェイスは重要であるが、オンラインだからこそ真実につながるということもあるのではないか。ピンチを生かすことが求められている。

結び

 災害対応でも無駄が出ることは極力避けなければならない。無駄が出れば早晩弁明が必要となる。しかしながら、余裕は必要である。無駄と余裕は異なる。社会でも自治体政府(議会・行政)でも、後日もめないためには、きちんと無駄と余裕の違いを議論しておくことが必要になる。そして、余裕には時間的余裕と空間的余裕がある。このことは、感染症を含む災害にも当てはまる。例えば、時間的余裕は遅れない対応を可能とし、空間的余裕は適正な導線のある医療施設の確保につながる。
 時間的余裕と空間的余裕は議会にも必要であるが、議会にとっての時間的余裕と空間的余裕はどのようなものであろうか。議会は、議会にとってのこの二つの余裕を考えながら時間的余裕と空間的余裕のある政策(減災)を議論し決定することが求められている。そして、その議論が市民の安心につながる。

(1) 例えば、松下 2011。
(2) なお、都市計画区域ごとに都道府県が策定するのは、「都市計画区域マスタープラン」であり、市町村が策定する「都市計画マスタープラン」とは異なる。


■参考文献
◇礒崎初仁(2020)「防災政策と安全」礒崎初仁=金井利之=伊藤正次『ホーンブック地方自治〈新版〉』北樹出版、184~196頁
◇今井照(2018)『2040年 自治体の未来はこう変わる!』学陽書房
◇金井利之(2021)『コロナ対策禍の国と自治体─災害行政の迷走と閉塞』筑摩書房
◇消防団ホームページ(https://www.fdma.go.jp/relocation/syobodan/data/scale/〔2022年6月17日確認〕)
◇内閣府ホームページ「自主防災組織の推移」(https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r02/honbun/3b_6s_43_00.html〔2022年6月18日確認〕)
◇永松伸吾(2020)「地域の防災政策の変容」佐野亘=山谷清志監修、焦従勉=藤井誠一郎編著『政策と地域』ミネルヴァ書房、13~31頁
◇西出順郎ほか(2021)『災害連携のための自治体「応援職員」派遣ハンドブック─東日本大震災のデータと事例から』公人の友社
◇廣瀬克哉(2021)「地方議会の危機対策観は進化したか?」自治日報(2021年12月20・27日)、3頁
◇松下圭一(2011)「東日本大震災と公共・政府政策」公共政策研究vol.11、6~21頁

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