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2022.07.11 政策研究

第7回 政策(減災)と安心・不安

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他の自治体に対する災害応援を自分の自治体で生かす

 他の自治体に対する災害応援をすることにより様々なことが分かる。例えば、応援職員や応援物資の受入れ方法・調整方法や、誰でも理解できる記録の取り方などを直接目にすることができる。
 しかし、他の自治体を応援できる職員にも限りがある。したがって、自分の自治体で被災したときのように、多くの部局で応援することは難しい。けれども、実際に被災したときには、災害本部で働く職員もいるし、現場で市民とともに役割を果たす職員もいるであろう。そして、その職員は、得意分野のある者・採用後間もなく得意分野が明確でない者など様々である。
 このような多様な職員が災害時に力を発揮するには、西出順郎がいうように、応援職員の得た貴重な経験的知見を個人の暗黙知から組織の形式知へといかに転換させるかが、自治体全体の今後の課題といえよう(西出 2021:140)。そうすることで、災害時に往々にして問題となるボトルネックを解消することもできる。今回の新型コロナ対応では、様々な関係者がボトルネックとなっていたが、関係者の得た暗黙知を組織の形式知へと転換させることができるかが、自治体(市民・議会・行政)にとっても国にとっても課題といえよう。

空間と減災・増災

 災害時に役立ち、減災することになる政策には、都市計画や都市計画事業・土木事業のような空間に関するものもある。例えば、都市計画では、防火地域という特別用途地域があるし、時間はかかるが地区計画で必要な避難道路を整備する方策もある。都市計画事業では再開発事業や広幅員道路整備事業などがある。防災公園を整備することもある。これらの都市計画や都市計画事業については、自治体ごとに策定されている「都市計画マスタープラン」(2)(都市計画法18条の2に位置付けられる「都市計画に関する基本的な方針」)が、冊子やホームページで公表されていることが少なくない。
 また、最近は災害実績が地震、水害等の区分でハザードマップ(「ハザードマップ」とは、一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされている(https://www.gsi.go.jp/hokkaido/bousai-hazard-hazard.htm〔2022年5月24日確認〕))として公開されているが、その理解と行動を一人ひとりの市民に任せるだけでなく、市民・行政とともに議会が話し合いを進めることも必要であろう。そこでの視点として求められるのは、「自然の力は人間の力よりも大きい」という認識である。そのため、自然に反する人間の行為は極力避ける必要があるといえる。
 さらに、空き家が周辺地域に倒壊や火災などで悪影響を及ぼすこともある。大震災のときには、空き家が増災(ここでは、減災の反対語として使用)を引き起こすことになる。

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