2022.06.27 政策研究
第11回 議会からの「政策サイクル」におけるオンライン視察・研修の活用の意義
東京都東村山市議会でのオンライン議員研修会
前回(第10回)の「オンラインを活用した住民とのコミュニケーションの可能性」では、東京都東村山市議会のウェブ会議システムZoomを使った議会報告会について紹介した。
東村山市議会の議会報告会は、「議会基本条例」に明記した上で、「原則として年4回、定例会が終了するごとに開催する」と「開催要綱」で定め、トライアンドエラーを重ねながら改善を行い、直近では、常任委員会単位でテーマを決めて少人数で意見交換を実施する形式にブラッシュアップされている。議会からの「政策サイクル」を志向してのものでもある。コロナ禍の中、2021年8月からは、Zoomによるオンライン議会報告会に挑戦。2022年2月には、Zoomの少人数で話し合う(ブレイクアウトルーム)機能を活用し、4常任委員会がそれぞれ設定したテーマに分かれて市民との意見交換を行っている。
東村山市議会のオンラインによる議会報告会
4常任委員会の中の総務政策常任委員会では、「投票率の向上対策について」を所管事務調査事項に設定し、2022年12月を目標に政策提言をまとめる予定で取り組んでいる。2月のオンライン議会報告会に参加した筆者が、総務政策常任委員会のグループで意見交換に加わった縁もあり、また、筆者の研究テーマの一つが「主権者教育」であることから、5月10日に、投票率向上をテーマとした研修会の講師を務めることになった。「投票率向上のために私たちにできること」をテーマに、大学の研究室からオンラインで講演を行った。投票率向上のために取り組んでいる全国の事例を紹介するとともに、事例を参考に東村山市議会として何ができるのかイメージを膨らませてもらうことを意識しながら進めた。この日の研修には、オンラインを含め約40人が参加、ほぼ全員の議員に加え、選挙管理委員会や教育委員会の職員等も参加した。オンラインを活用することにより、投票率向上に関わるステークホルダーが一堂に会して研修を受講し、問題意識を共有する場になった。
東村山市議会のオンライン研修
オンラインを介した質疑応答の様子