2022.06.27 政策研究
第11回 議会からの「政策サイクル」におけるオンライン視察・研修の活用の意義
コロナ禍での行政視察とオンライン視察の現状
2020年以降、新型コロナウイルスの感染が全国に広がったことにより、地方議会の行政視察にも大きな影響を及ぼしている。日経BP総合研究所が運営するウェブサイト「新・公民連携最前線」が実施した「コロナ禍の中での行政視察受入れと先進施策に関する調査」(調査実施期間:2021年7月27日~8月27日/回答数:705団体)によると、視察の受入れを休止したことのある自治体が約4割、受入れ地域や視察人数を制限した自治体もあった。視察対応に変化なしという自治体も、視察依頼がそもそもなかったという自治体が多く、コロナ禍で、行政視察は大幅に減っている。
そんな中、この調査によると、オンライン視察を受け入れたという自治体は68団体(9.6%)あった。また、オンライン視察を受け入れた際の実施形式は、「ウェブ会議システムによる説明(口頭およびスライド資料による説明)と質疑応答」が圧倒的に多く、68団体のうちの61団体(89.7%)がこのウェブ会議形式でオンライン視察を受け入れている。視察が会議室での説明で事足りるのであれば、ウェブ会議形式で十分情報が得られることになる。その他、ウェブ会議システムのライブ動画配信を利用した施設・現場案内(施設内を移動しながら映像を共有)、あらかじめ撮影した動画による施設・施策現場の説明、を行っている団体もあり、視察対象が施設の場合でも、受入れ先の対応によっては、オンラインでの実施が可能である。
本連載の第2回で紹介した岩手県奥州市議会でも、常任委員会単位で「政策サイクル」を回す上で、コロナ禍の中、先進地のオンライン視察や、専門的知見の活用のためにオンライン研修を積極的に実施し、その成果を政策提言にまとめている。また逆の立場で、議会改革に関するオンライン視察も積極的に受け入れている。
奥州市議会のオンライン研修
奥州市議会の議会改革に関するオンライン視察の受入れ