2022.06.27 議会改革
第29回 自治体議会と多様性(2)
【コラム】選挙制度の類型
選挙制度は、選挙区、投票方法などによって区別され、それが代表の方法の違いと結び付くことで、それぞれの特性・特徴が形づくられることになる。
これらのうち、選挙区は、選挙人団の区分であり議員の選出の単位でもあるが、近代選挙においては、選挙人の居住する地域をその構成の基礎とするのが通例である。選挙区制については、一選挙区における選出議員の数(議員の定数)によって、1人を選出する「小選挙区」と2人以上を選出する「大選挙区」とに区分される。また、選挙区は、地域をいくつかの単位に分けることが多いが、全国や自治体区域全体を単位とすることもある。
他方、投票方法については、候補者個人に投票する方法と名簿に投票する方法があるが、個人に投票する場合には、「単記投票制」と2人以上の候補者を選ぶ「連記投票制」があり、連記制は完全連記制と制限連記制に区分される。このほか、当選人の決定方法に関する絶対多数方式と相対多数方式、1回投票方式と2回投票方式の区分、候補者の得票についての移譲式と非移譲式の区分、当選基数の算出方法による区別などもある。名簿に投票する場合には、政党等に投票する拘束式と、名簿登載者の候補者名の投票も認める非拘束式がある。
選挙制度は、それらの組み合わせによって様々なものが構成されうるが、それによって代表の方法も変わりうることになる。代表システムについては、多数代表制と比例代表制に区分されることが多く、その点からは、選挙制度については、次の表のように区分されることになる。ただし、日本では、そのほかに、少数代表制が挙げられることも少なくなく、その場合には、大選挙区単記非移譲式投票制などがその典型として挙げられる。
〈主な選挙制度の仕組み〉
選挙制度によって、議会への民意の反映の仕方が異なり、議会政治のあり方が左右されることになるほか、選挙制度は、政党のあり方や状況に影響を与えることになる。また、議院内閣制においては、議員の選挙制度は、議会の構成にとどまらず、国民による政権選択のあり方にまで影響を及ぼすものとなる。
ちなみに、自治体議会議員の選挙については、公職選挙法で規定されており、都道府県と政令指定都市が単純小選挙区制と大選挙区単記非移譲式投票制の混合、あるいは大選挙区単記非移譲式投票制(条例における選挙区の区割りと定数配分のあり方いかんによる)、市区町村が大選挙区単記非移譲式投票制とされている。