2022.06.10 政策研究
第6回 政策(交通安全、防犯、ジェンダー〔多様性〕、公文書管理)と信念・忖度
女性議員の少ない理由・背景・帰結と「生きた議会」とするための対応策
では、女性議員の少ない理由・背景・帰結はどのようなものであろうか。そして、その対応策はどのようなものが考えられるのか。
女性議員の少ない理由・背景には、二重の理由・背景がある。一つは男女を含めて議員のなり手が「少ない」理由・背景である(表4の1~10)。もう一つは、女性議員のなり手が「少ない」理由・背景である(表4の7~9)。
平常時も非常時も適正な政策過程(課題抽出、選択肢作成、決定、実施、評価)が可能となるには、政策過程に関わる女性議員の割合が適正であることが求められる。適正でないこと、すなわち女性議員の割合が50%から大きく乖離(かいり)していることは、適正な政策過程にないということができる。
出典:筆者作成
表4 議員のなり手・女性議員のなり手が「少ない」理由・背景
女性議員の比率が高まる過程においては、その分、新人議員の比率が高まる。そして、多様性が高まると従来の議会運営に対する疑問が発生し、場合によっては議会内に争い・混乱が起きることもありうる。そのような多様性に伴う争い・混乱は、議会運営・政策内容・広聴広報など多岐にわたる。一方、多様性の変化が少ない場合には、疑問が発生しても議会内に混乱が起きない(鎮圧される)こともある。しかし、「議論なし」での鎮圧では議会とはいえない。争い・混乱には話し合いが必要である。この話し合いの力量を高めることが、多様性のある生きた議会とするための対応策である。
ところで、「クリティカル・マス」という言葉があるが、少数派(この場合は女性議員)が一定の割合に達すると、その影響が連鎖し、ついには議会に実質的な影響力を持つようになることを意味するという。そして、どの水準をもって「決定的」とするかは諸説あるが、「30%」が一つの目安として語られることが多いらしい(NHKスペシャル取材班 2020:124)。しかし、それに甘んじることなく、早期に「パリテ(男女均等、同数)」を目指すことが期待される。
なお、議会事務局職員の比率や役職者女性比率も、議員同様に50%を目指すことが求められている。議員にあっては、女性議員だけではなく男性議員も、議員自らの女性比率や役職者女性比率はもちろん、議会事務局職員さらには執行部職員の女性比率や役職者女性比率をも注視することが大切である。