2022.06.10 政策研究
第6回 政策(交通安全、防犯、ジェンダー〔多様性〕、公文書管理)と信念・忖度
関係者(地域と自治体政府)の信念ある連携:交通安全運動や防犯活動の例
交通安全運動や防犯活動は、図1のように地域の様々な関係者により支えられている。個々の関係者には、それらの運動に積極的に取り組むことが互いに見込まれているが、そこには各関係者の持つ政策資源からの限界もある(表2参照)。市(議会)を例にとれば、市(行政)の予算を決定しうるなどその権限は大きいものの、他の関係者と比較してその数(議員数)は限られているし、議会として使える予算(議会費)は行政よりも大きくはない。
そのため、地域の様々な関係者が力を発揮するためには、関係者の連携が求められてくる。連携により、各関係者の持つ政策資源(人員・予算・権限・時間・情報などの多少や大小)のバラツキを解決することが可能となるからである。しかしながら、場合によっては信念が必要となる。様々な関係者は立場・事情が異なるため、他(交通安全運動や防犯活動以外)のことから派生して不協和音が出ることがあるためである。この不協和音を超克するのは、子ども・老人・病人・障がい者をはじめ全ての人を守りQOL(Quality of Life:クオリティ・オブ・ライフ:「生活の質」、「人生の質」)を向上させるという信念である。
出典:筆者作成
図1 交通安全運動や防犯活動において連携する関係者の例
出典:筆者作成
表2 交通安全運動や防犯活動において連携する関係者の持つ政策資源の特徴(例)
交通安全運動や防犯活動、その組織を回すには、表2に示した政策資源のボトルネックを取り除くことが大切である。ボトルネックを避けるには、様々な政策資源を大きくすること、増やすことと、バランスをとることが必要となる。また、例えば、町会・自治会で防犯活動を行う際には、防犯ステーションや防犯パトロールカーが必要となることもあろう。そこには、そのための資源を関係団体の構成員(個人や企業など)から借用することも考えられる。
関係団体間や関係団体内の構成員間の議論・日常生活においては、相手に「恥」をかかせてはいけない。相手に「誉れ」を与える心と技も必要である。
出典:田中 2018:91をもとに一部表現を変更し筆者作成
表3 子どもの見守り活動のポイント