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2022.05.13 政策研究

第5回 政策(計画)と継続・調和・調整

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主体は未完全な存在だからこそ連携できる

 会津若松市議会は、2008年6月定例会において賛成総員で可決・制定された議会基本条例に基づき、議会改革を進めてきた。会津若松市議会では市民参加という原点に着目し、表2のような特徴的な取組みを行っている。そこには、多様な市民意見から、政策立案・提言に結びつける取組み(政策サイクル)も位置付けられている。
 政策は一つの主体が個別に完全な存在であると連携できない。図3に示すように主体が連携するためには、主体が個々には未完全であり欠点があることが必要となる。欠点があることにより、個々には未完全であっても、連携することにより、政策は質量ともに充実したものとなる可能性がある。
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出典:筆者作成
図3 欠点を有し未完全な主体の連携イメージ

「総合計画」と「分野別計画・個別計画」の策定に当たっての留意点

 では、「総合計画」策定と「分野別計画・個別計画」策定とでは、どのような差異があるのだろうか。そして、そのためには、どのような留意点が必要であろうか。
 「総合計画」と「分野別計画・個別計画」には、「当事者」と「対象政策」を比べると、表2に示したように違いがある。「総合計画」の当事者は、「全ての市民」、「全ての利害関係者」、「全ての応援市民」となる。「分野別計画・個別計画」の当事者は、「限られた市民」、「限られた利害関係者」、「限られた応援市民」である。また、「全ての市民」、「全ての利害関係者」、「全ての応援市民」、「限られた市民」、「限られた利害関係者」、「限られた応援市民」の中には、無関心者が含まれるとともに能力差が存在する(表2参照)。
 「利害関係者」とは、例えば、当該自治体の区域外からの通勤・通学者をいう。住所のある市民ではないが、その社会活動を通じて地域を活性化する役割を果たす。この「利害関係者」には、「全ての利害関係者」と「限られた利害関係者」が存在する。また、「応援市民」とは、関係人口といいうる市民をいう。関係人口といいうる市民は、「地域内にルーツがある者(近居・遠居)」、「行き来する者」、「何らかの関わりがある者(過去の通勤や居住、滞在等)」である(総務省「関係人口とは」(https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/about/index.html〔2022年1月31日確認〕))。「応援市民」についても、「全ての応援市民」と「限られた応援市民」が存在する。
 ここでいう「限られた市民」、「限られた利害関係者」、「限られた応援市民」とは、例えば、子育てだけに関心があり、老後や老人政策には関心のない市民をいう。同様に、工業関係者で、工業のことに関心があり、農業のことには無関心な市民をいう。
 「総合計画」と「分野別計画・個別計画」の策定に当たっては、これらの差異に留意する必要がある。
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出典:筆者作成
表2 「総合計画」と「分野別計画・個別計画」の当事者・対象政策の分類

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