2022.04.11 議員活動
自治体法務検定演習問題を解いてみよう(その44)
正解及び解説
■基本法務
〔正解〕②
〔解説〕この問題は、民法総則の諸制度分野からの出題である。①不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害「及び」加害者を知った時から3 年間行使しないとき、時効によって消滅する(民法724条1 号)。もっとも、人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、3 年間ではなく、「5 年間」である(民法724条の2 )。したがって、①は妥当でない。②民法改正により、商事債権の時効期間を5 年間と定めている商法522条の規定が削除され、商事債権であるかどうかにかかわらず、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5 年間、権利を行使することができる時から10年間」で時効により消滅する(民法166条1 項)。したがって、②は妥当である。③国税の徴収を目的とする国の権利(国税の徴収権)は、その国税の法定納期限から5 年間行使しないことによって、時効により消滅する(国税通則法72条1 項)。したがって、③は妥当でない。④地方公共団体が有する金銭債権や地方公共団体に対する金銭債権は、大量処理の必要性から、権利を行使することができる時(客観的起算点)からの時効のみ定められており、その期間は5 年間に短縮されている(地方自治法236条1 項)。したがって、④は妥当でない。(基本法務テキスト296~297,304頁)
■政策法務
〔正解〕④
〔解説〕①、②は妥当でない。パブリックコメントは、意見の公募による充実した政策形成を狙った制度であり、提出意見における賛否の割合や否定意見の多寡とはかかわりなく運用されるべきである。③は妥当でない。パブリックコメントは、行政手続法において意見公募手続として制度化されている。ただし、国の行うパブリックコメントには同法の制度を超えて自主的な取り組みとして行われている部分もある。④は妥当である。自治体の行うパブリックコメントは、条例案を含む「重要な政策」を対象として独自に制度化される傾向がみられる。(政策法務テキスト243,248~249頁)