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2022.04.11 政策研究

第4回 政策(まちづくり)と文脈

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状況への配慮の限界と可能性

 ところで、文脈による状況への配慮をすることは、当該政策の実現性が高くなったり早くなったりするが、適正な(正確な)政策からは乖離(かいり)するおそれがある。一方、文脈による状況への配慮をしない場合には、当該政策の実現性が低くなったり遅くなったりするが、適正な(正確な)政策に合致することがあるかもしれない(表7参照)。このように、文脈による状況への配慮には、「政策の実現可能性」と「政策の適正可能性」というジレンマがある。この「政策の実現可能性」と「政策の適正可能性」というジレンマは、どの段階で折り合いをつけるかということと関わってくる。
7

出典:筆者作成
表7 文脈による状況への配慮の有無と「政策の実現可能性」、「政策の適正可能性」

 なお、意思決定の過程を文脈を含めて記録することは、新たな文脈すなわち新たに配慮すべき事項を見いだすことでもある。そのことは、「政策選択肢の豊富化」にもつながり、より適正な政策の決定・実施につながる。ただし、政策資源の一つである時間にも制約があるため、適正な時期に決定することも求められる。その対応策としては、あらかじめ政策決定までの時間(期間や期限)を定めておくことが考えられる。

結び

 平常時も非常時においても不必要な対立を回避するためには、敵対的言説を抑制する必要がある。文脈により「状況への配慮」をすることは、この敵対的言説を抑制する可能性を持つ。自治体議会が配慮すべき主体と配慮すべき事項を確認し、主体的に文脈を把握し、多様な議会の方法や手段を実行し、これらの取組みを評価・検証することは必須のことである。文脈により「状況への配慮」をする議会・議員に期待したい。

■参考文献
◇会津若松市議会「会津若松市議会白書 令和2年度版」(https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2021020100028/files/R2gikaihakusyo.pdf〔2021年12月21日確認〕)
◇会津若松市議会「声の議会白書」(https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2021020100028/〔2021年12月21日確認〕)
◇佐野亘(2018)「文脈──状況への配慮」石橋章市朗=佐野亘=土山希美枝=南島和久『公共政策学』ミネルヴァ書房、213~236頁
◇福島建設工業新聞社「新校舎で開始式/会津若松市行仁小」(2021年4月12日)(http://www.fk-news.co.jp/headline/detail.php?id=1684〔2022年3月3日確認〕)
◇早稲田大学マニフェスト研究所議会改革調査部会「議会改革度調査2020単純集計表」(http://www.maniken.jp/gikai/2020data_all.pdf〔2021年12月21日確認〕)

 

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