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2022.03.10 政策研究

第2回 自治体議員も人ごとではいられなくなるカーボンニュートラル(後編)

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前所沢市議会議員 木田 弥

【今回のテーマから考えられる一般質問モデル案】
〇我が市は「ゼロカーボンシティ(地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ)」を表明しているが、その実現可能は? また、実現のための方策は?
〇ゼロカーボンシティのためには、やはり住民の行動変容が重要と思われる。そのために必要な方策として、どのような方策が考えられるか?
〇我が市も「脱炭素先行地域」に選定されるようにするべきではないか?

ゼロカーボンシティの実現は本当に可能なのか?

 国が2050年カーボンニュートラルを宣言し、環境省も脱炭素に向けた地方公共団体の取組みについて様々な政策誘導を進めようとしているのはご承知のとおりである。内閣官房は、2020年12月、国と地方の協働・共創による、地域における2050年脱炭素社会の実現のための「国・地方脱炭素実現会議」を設置した(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/index.html)。
 「菅総理が2050年カーボンニュートラルを宣言した際、『国と地方で検討を行う新たな場』の創設を表明」(国・地方脱炭素実現会議「地域脱炭素ロードマップ」(2021年6月)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/pdf/20210609_chiiki_roadmap.pdf))したことがきっかけである。
 「地域脱炭素ロードマップ」において、特に力を入れている政策の一つが、「地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」いわゆるゼロカーボンシティの表明である。さらにこの中から意欲と実現可能性の高い地域100か所程度を選択して「脱炭素先行地域」とし、「実行の脱炭素ドミノ」を起こすことを目指している。
 国の並々ならぬ意欲は、その予算額からも見て取れる。「脱炭素ドミノ」実現のために、2022(令和4)年度予算で、「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」200億円を予算化した。
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出典:環境省(https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/nergy-taisakutokubetsu-kaikeir04/gsyk04-01-02.pdf

図1 地域脱炭素移行・再エネ推進交付金

 これらのロードマップや予算を見る限り、おおむね2030年までに100か所の「脱炭素地域」をつくること、その「脱炭素地域」の目標は、「民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出については実質ゼロを実現」と電力消費対応を当面の目標にしている。
 その先の20年については、現状ではカーボンニュートラル達成の確かな道筋を描くところまでは来ていない。
 実際に、区域が小さい市町村では、CO2の吸収源も確保できず、ひたすらCO2排出削減に取り組む、あるいは太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入に取り組んだとしても、カーボンニュートラルの実現は厳しい。結局のところ、実質ゼロのためには、どこかの段階で、CO2の排出権を何らかの形で獲得する必要がある。
 「地域脱炭素ロードマップ」では、「3.地域脱炭素を実現するための取組」の3-1.(2)⑥「CO2排出実質ゼロの電気・熱・燃料の融通」の項目において「遠隔地も含めて再エネポテンシャルの豊富な市町村の再エネ立地と積極的に連携し、そこで得られた再エネ電気を活用」、「脱炭素電源や、非化石証書及びグリーン電力証書、J-クレジット、JCMクレジット等の方法によりオフセットされた域内外のCO2排出実質ゼロの電気の融通」等が記載されている。
 要するにこれは、温室効果ガスの排出量取引制度も活用しましょうということである。
 では、排出量取引制度とはどのような仕掛けなのだろうか。

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