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2022.03.10 政策研究

第3回 政策(SDGs等)と合理性

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政策(利害関係者)の合理性─批判だけの限界

 政策における最低保障の原則(シビル・ミニマムの原則)は、政府政策の費用を抑制させるものであり、政策の合理性を示している。
 また、松下がいうように、政策の発生源は批判源であるだけでなく、洗練源・実効源でもある(松下 1991:97)。そこには、政策の利害関係者が政策を深化させ、合意の可能性が高まるという政策の合理性がある。
 けれども、既存政策についての批判が噴出しただけで、新たな政策をつくることができないと混乱だけが大きくなる。野口雅弘は、新たな創造のためには破壊が必要であるけれども、破壊したからといって、それと同時に何かが創造されるわけではないという(野口 2018:50)。自治体政策についても、批判だけでなく新たな政策を併せて創造することが重要となる。

記憶の合理性と限界

 記憶は合理性がある。ただし、記憶は曖昧であり文書で残っていることが必要である(文書にも問題がないわけではない)。公文書であれば、「いつでも」、「誰でも」、「どこでも」、「何でも」閲覧・公開できることが原則である。日本の公文書管理は、専門家(アーキビスト)の配置を含め先進国に比べ遅れている。
 公文書の内容精査については、もちろん公文書管理が適正に機能していないことがあることに留意すべきである。そのような場合においては、政策過程(課題抽出、選択肢作成、決定、実施、評価)の全てについて、連続して文書を調べることも必要となる。情報公開請求をすれば、議員も行政の政策資源力を活用することにより、かなりの情報が入手できる。
 もちろん、市民も情報公開請求をすることにより、情報を入手することができる。愛知県東浦町では「東浦♡町民ファーストの議会を求める会」が、みんなの意思で議会や行政を動かし、みんなの手で地域をつくっていきたいと思い立ち行動している。具体的には、ブログで東浦町議会のあらゆる会議録を「情報公開条例」により公開していくことを始めている(東浦♡町民ファーストの議会を求める会ホームページ(https://ameblo.jp/enari555/〔2022年1月9日確認〕))。

リフレーミング(政策を選択する認識枠組みの⾒直し)の合理性

 「問題構造の分析」では、フレーム(政策を選択する認識枠組み)がどのように調整されるかが重要である。新型コロナウイルスの問題を例にとれば、自治体や国の議会や行政の問題なのか、店舗や地域の問題なのか、市民一人ひとりの問題なのか、フレーミングによって問題の理解と解決の⽅向性が異なる。
 このため、アクター間でのフレームの差異は、問題状況を複雑化させる。そして、問題構造化のプロセスにおいては、関連する多様なアクター間においてフレームの調整をもとにリフレーミング(政策を選択する認識枠組みの⾒直し)が試みられる。秋吉貴雄が指摘するように、特定の問題に関連して異なるフレームを有するアクター間で、⼤きなフレームを再設定することによって、⼀定の合意を図ることが可能になる(秋吉 2015:82-84)。このことは、アクター間の相互理解が進むという面においても合理性がある。

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