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2022.03.10 政策研究

第3回 政策(SDGs等)と合理性

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予防の合理性─「早期着手の合理性」

 予防は政策の実施上効果がある。なぜなら、予防は政策資源を蓄えることができるからである。では、予防はどのように政策資源を蓄えることができるのであろうか。予防により蓄えることができる政策資源の内容と方法は、どのようなものであろうか。それを表したものが表3である。
 政策資源は、その確保にいずれも時間を要するが、予防は政策資源の早期確保につながる。政策資源は人や財源のように短期的には相反するものもあるが、それでも「政策資源の拡大」、「選択肢の増大」、「やる気の増大」、「合意形成の促進」、「予測可能性の増大」、「早期着手の実現」、「周知効果の増大」などの効果がある。予防で時間を確保することは大切である。
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出典:筆者作成
表3 「政策資源の種類」と「予防により蓄えることができる政策資源の内容」、
「政策資源を蓄える方法(例)」、「予防による効果」

 また、予防は政策を早期着手して検討することで、様々な議論を経て政策案を作成・発表することができる。このことは、政策案の様々なメリット・デメリットを、ある程度一覧として示すことになる。また、議論の結果として政策案を変更する場合でも、その議論の過程は朝令暮改や優柔不断ではなく、多くの声を聴いた上での熟議による判断ということができる。

第三者機関の合理性(必要性)

 政策の合理性は、自治体政府(議会〔議員・事務局職員〕・行政〔首長・職員〕)だけでは必ずしも確保されない。「自治体政府内の鉄のトライアングル(=議会・首長・職員〔事務局職員・執行部職員〕のトライアングル)」が起こりえるからである。
 議会・首長・職員〔事務局職員・執行部職員〕のトライアングルが、政府構成メンバーで構成されている。このトライアングルを防ぐためには、政府をチェックする機関として第三者機関が必要となる(第三者機関の合理性(必要性))。
 監査委員は、限定的であるが第三者の立場から自治体政府の取組みを評価する仕組みである。シンクタンクやマスコミが評価する場合もあろう。ただし、これらの評価は市民から見られているという意識なしには、適正な評価を継続して行うことはできない。

調整と合理性

 松下圭一は、各レベルの政府は、今後議会を含めて、「政策先導」ではなく、水準の高くなった市民活動、団体・企業、あるいは政策知識人の政策構想についてのヒロバをつくり、政党とともに「調整」をその課題とするようになると予測し、政策をめぐる政府の位置が「先導」から「調整」へと変わると1991年の段階で述べている(松下 1991:192)。
 そうであるならば、「調整」するための能力が、政府(議会・行政)や政党・会派には求められる。そして、「調整」するための能力自体も、市民力が高まっている今日にあっては、政府を支援する市民活動、団体・企業、あるいは政策知識人と連携・協力することが必要となる。例えば、今日「調整」するための基盤的能力としてファシリテーション能力や広くワークショップに関する能力が求められ、政府以外の主体がこれらの能力を生かして政府を支援することは少なくない。
 そのことが実現するためには、市民・議員・首長・職員が地域公共人材であることが求められる。ここでいう地域公共人材とは、連携・協力によって政策過程を進めていく重要性を知り、それを可能とする素養や能力を持つ、市民から高度職業人までの幅広い人材を指す(土山 2011:22)。
 このように、「調整」することは様々な主体の多様な能力を活用することになり合理性がある。

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