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2022.02.25 政策研究

第1回  自治体議員も人ごとではいられなくなるカーボンニュートラル(前編)

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カーボンプライシングに要注目  

 カーボンニュートラルを目指すためには、二つの方法がある。一つは、温室効果ガス、特に二酸化炭素の吸収量を増やすために、吸収源としての森林面積を増やすこと。もう一つは、温室効果ガスの排出量を減らすことである。吸収源を増やすことは、コストの割に効果がすぐ現れない。やはり、温室効果ガス排出量削減が手っ取り早い。そのための方法がいくつかある。  
 着目すべきは、温室効果ガス排出量取引制度である。この制度には、カーボンプライシング(2)が必須である。筆者は、早晩、地方公共団体もいや応なしにこのカーボンプライシングに取り組まざるを得ないとみている。そして、このカーボンプライシングの仕組みは、地域の温室効果ガス排出量の算定とともに非常に分かりにくく複雑である。よってこの説明は、次回以降に丁寧に行いたい。とりあえずキーワードとして、覚えていただきたい。  
 また、本稿では、地球温暖化の是非については議論しない。温暖化の是非はともあれ、世界は温暖化を前提に、産業構造や金融も大きく変化しているからだ。

COP26で日本は世界に何を約束したか  

 2021年11月2日に英国グラスゴーで開催されたCOP26世界リーダーズ・サミットにおいて、岸田文雄総理は、わざわざ現地に赴いてスピーチ。そこで、「『2050年カーボンニュートラル』。日本は、これを、新たに策定した長期戦略の下、実現してまいります。2030年度に、温室効果ガスを、2013年度比で46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向け挑戦を続けていくことをお約束いたします」と演説。また、「この10年が勝負です」とも。2050年のカーボンニュートラル達成を約束しただけでなく、2030年度の温室効果ガス排出量46%削減まで約束した(ただし、この約束は京都議定書の場合と違い、義務ではなく、あくまで目標である)(3)。  
 このスピーチに合わせるかのように、「地球温暖化対策計画」(4)が、2021年10月22日に改訂され、その内容は閣議決定された。実に、2016年5月13日の閣議決定以来5年ぶりのことである。  
 この5年の間に、欧州は、矢継ぎ早にカーボンニュートラルに向けての対策を打ってきた。2019年には、EUからの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしながら同時に産業構造の転換と雇用確保を目指した「欧州グリーンディール」を発表。一方、日本は、パリ協定から離脱した米国のトランプ政権に遠慮してか、温暖化対策の歩みを止めてしまったかのようだった。それが、米国が温暖化対策に熱心なバイデン政権に交代したことを見据えて、温暖化対策の目標値のハードルをいきなり上げた。  
 そればかりではない。後述するように、一定規模以上の地方公共団体は、地方公共団体の活動から発生する温室効果ガス排出量にとどまらず、所管する区域全体の温室効果ガス排出量についても、削減義務を負うこととなった。  
 同じ2021年10月22日には、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」が閣議決定(5)された。スピーチ中の「新たに策定した長期戦略」とは、この戦略だ。

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