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2022.02.25 政策研究

第9回  常任委員会の効果性を上げて「議会からの政策サイクル」を回す~岐阜県可児市議会の取組み~

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可児市議会の「意見聴取・反映サイクル」と「委員会代表質問」

 可児市議会の三つの常任委員会は、任期が1年であるが、委員会の引継ぎ事項を行い「議会運営サイクル」を回すことで、継続的な委員会活動を行っている。引継ぎ事項を受けて、毎年年間の活動計画を策定し、活動方針、課題(所管事務調査のテーマ)、活動内容、スケジュールを明確にしている。例えば、2021年9月から1年間の総務企画委員会の課題は、防災力向上、シティプロモーション等、建設市民委員会の課題は、自治会組織のあり方、外国籍市民について等、教育福祉委員会の課題は、新型コロナウイルス感染症対策、ICTを活用した教育環境等。各課題に基づき、各種団体との意見交換会、先進地視察の予定があらかじめ決められている。つまり、年間を通した戦略的な常任委員会運営が行われている。
 常任委員会の課題、所管事務調査のテーマに追加されるルートの一つとなるのが、議会報告会である。コロナ禍前には、春(5月頃)と夏(11月頃)の2回、市内を六つのエリアに分けて、各回3エリアで開催されていた。議会報告には議会だよりを活用し、各回話し合うテーマを決めて、少人数のグループで意見交換を行う。出された意見の中で、議会として対応した方がよい課題については、「広聴広報協議会」で仕分けされ、各常任委員会に割り振られる。コロナ禍になり、各エリア単位の議会報告会は開催できていないが、常任委員会単位で、各種団体との意見交換会を開催している。
⑥議会報告会

議会報告会
⑦各種団体との意見交換会

各種団体との意見交換会
 

 もう一つのルートが一般質問である。可児市議会では、一般質問後に開催される常任委員会で、一般質問を受けて所管事務調査に加えるべきテーマについて議員間討議が行われる。2016年12月の定例会での土壌処理施設着工計画に関する一般質問に端を発し、その後建設市民委員会の所管事務調査の項目に追加され、参考人招致、行政視察等が行われたことがきっかけとなり制度化された。
 常任委員会の所管事務調査の出口として実施されているのが、「委員会代表質問」である。代表質問に関しては、議会の申合せ事項として、会派に認められている議会があるが、可児市議会では、「議会基本条例」で常任委員会を代表する議員が、所管事務に関して行うことができることになっている。「委員会代表質問」は、毎定例会開会前に受付され、申出があれば実施される。個人の議員が一般質問で追跡しても限界があるので、委員会の総意で重要だと思う事項は、委員会代表質問により、執行部をただす。これも2017年9月、上記の土壌処理施設着工計画の問題で、初めて実施、制度化された。「委員会代表質問」は執行部の受け止め方も違い、政策提言の効果は高いという。「委員会代表質問」により、災害情報の発信の問題、外国籍市民の問題等で成果を上げている。
⑧常任委員会の様子

常任委員会の様子

⑨委員会代表質問

委員会代表質問
 

常任委員会はエキスパート集団に

 可児市議会の「議会からの政策サイクル」は、常任委員会をその駆動エンジンとして、「議会基本条例」の11条にのっとり、実践されている。また、常任委員会では、年間の活動計画により、戦略的な委員会運営が行われている。
 可児市議会の「議会からの政策サイクル」の構築に尽力してきた川上文浩元議長は、次のように話す。「常任委員会はエキスパート集団にならなければならない。担当職員以上の知識と情報を持った。その前提となるのが、予算決算をしっかり把握していること。執行部からの議案をただ待つだけではなく、攻めの委員会活動が求められる」。
 

 

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