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2022.02.25 議会改革

第27回 議会と時間(2)

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 国会 会期中、各省庁の職員は、所管委員会だけでなく、予算委員会や本会議の代表質問についても、議員の質問通告が届くまで待機し、通告が届き次第、議員に質問の詳細を聞き取る「質問取り」を行った上で、答弁作成の割り振りが行われ、担当の職員が答弁書作成に取り掛かるが、内閣人事局が2016年12月に発表した「国会に関する業務の調査」の調査結果によれば、2016年の第192回国会(臨時会)の会期中で所管委員会質疑が行われた日の対応につき、すべての議員からの質問通告が出そろうのは全省平均で前日の20時56分(最も早い時刻17:00・最も遅い時刻24:00)であり、通告を受けた質問について担当課・室の割り振りが確定するのが平均22時36分(最も早い例17:30、最も遅い例28:50)であった(18)。作成した答弁書については、当日朝の大臣等へのレクもある。これに対し、霞が関からは質問通告の早期化を求める声がたびたび上がっていたが、改善は進んでこなかった。
 ただ、質問通告に関する取決めが存在しないわけではなく、1999年9月に、質疑者は原則として前々日の正午までに質問の趣旨等について通告することが、与野党の国会対策委員会実務者協議の合意事項として申合せがなされている(19)。しかし、この取決めは形骸化しているのが現状であり、その背景には、議員の意識の問題とともに、スケジュールをめぐる駆け引きのために審議日程自体が決まるのが遅いといった事情などもあるといわれる。2021年1月にも、各党が通告を早期に終えるよう努めることや、質問取りについても、これまでの「対面スタイル」を改め、電話やオンラインに切り替えることで一致したとされるが(20)、どこまで改善されていくのか、審議の日程設定やあり方の問題も絡むだけに、よく見通せないところもある。
 他方、自治体でも、「議会対応」が職員の長時間労働につながっているなどとして、職員の負担の軽減・働き方改革との関係から、改革の動きが見られる。
 例えば、神奈川県議会は、2018年の第1回定例会から本会議の質問の通告の締切りを、それまでの原則として「2日前」から「3日前の午後5時まで」とすることとし、予算委員会の質疑通告も同様の取扱いとしている(21)。また、本会議や予算委員会の出席者を縮小・簡素化すること、本会議・委員会の質問・答弁調整について執務時間中に行うようにすること、議案の審議や委員会の調査のために議会に提出する資料の簡素化など業務効率化の観点から見直すことなどを申し合わせた議会も見られる。このほか、本会議等における質問時間の短縮を求める議論や動きなどもあるようであるが、これに対しては、本末転倒で議会の機能を弱めることになりかねない、議会と執行部との緊張関係が失われかねないなどの異論もあるようだ。

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