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2022.02.25 議会改革

第27回 議会と時間(2)

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6 議員の時間

 議員は、24時間365日議員であるといわれるが、それぞれの議員には、議会活動(公務活動)と、主に議会外となる準公務活動、政治活動、私的活動(個人としての職業活動やプライベートな活動)などの時間があるはずである。議会での公務活動と準公務活動(10)は、議員活動と呼ばれることもある。
 その比重の置き方は、それぞれの議員によって異なることになり、特に兼業の有無とその程度が大きく影響することになると思われるが、それぞれの活動の比重の程度は自治体の種類・規模などによっても異なりうる。
 例えば、全国都道府県議会議長会の資料によれば(11)、各全国議長会の2018年の調査で、都道府県議で専業が52.7%、専業以外が47.3%、市区議が専業43.9%、専業以外56.1%、町村議が専業22.8%、専業以外77.2%であり、2013年と比較してそれぞれで専業が増加傾向にあるとされる。
 また、その資料でも引用されている2006年の小林良彰「全国都道府県議会議員の意識に関する調査報告書」によれば、都道府県議会議員が(1日において)議員活動に割く時間について、2時間未満が1.3%、2時間以上4時間未満が15.5%、4時間以上6時間未満が30.4%、6時間以上8時間未満が25.4%、8時間以上が27.4%となっており、比較的若く当選回数が少ない議員ほど生活時間における議員活動に占める割合が大きくなる傾向が見られたという。このほか、データが古く調査対象が限定的なものではあるが、議員以外の仕事に割く時間は、市町村議会議員が最も多く(大部分の時間15.6%、かなりの時間45.8%)、その中では人口規模が小さくなるほどその時間が大きくなり、次いで府県会議員(大部分の時間4.3%、かなりの時間14.08%)、指定都市(大部分の時間1.5%、かなりの時間10.48%)といった村松岐夫・伊藤光利による調査結果もある(12)。上記のデータから、数値には変動がありうるものの、だいたいの傾向を推知することができるのではないかと思われる。
 いずれにしても、議員として最も重要なのは、議会活動の時間であるはずであり、議会において出席し発言することは議員の基本的な義務とされている。また、議員の役割ということからすれば、どこまで準公務活動とするかは見方が分かれうるものの、有権者の声を聞いたり様々な社会的な実情等を調査したり行政に照会・要望をしたり自治体関係の会合に出席したりする準公務活動(住民代表としての時間)も重要である。政党、関係団体、地域、後援団体等の会合、活動、行事に参加する政治活動も、次の選挙に備えるだけでなく、議員の地位に結び付いたものとして大事な活動といえる(政治家としての時間)。ただ、これらの活動は密接に結び付くとともに、トレードオフの関係にもあり、全体として議会活動よりも他の活動に重きを置くような風潮が強まると、議会審議の形式化が進むことにもなりかねない。先に述べたような質疑・討論の方式などもあって、議員の中には、議会審議において1年間に1度も正式な発言をしたことのない議員も存在するといわれ、それでも準公務活動や政治活動を通じて議員の役割を果たしているとの主張や見方がなされることもあるようであるが(13)、有権者からは、どのように見えるのだろうか。

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