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2022.02.25 議会改革

第27回 議会と時間(2)

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 なお、議案の審議時間を検討するにあたっては、議案の件数や成立件数も考慮する必要がある。この点、自治体議会の場合には、年間の平均議案件数は、都道府県・指定都市議会では200件超、市区議会では110~160件程度、町村議会では90件前後ともいわれる(4)。条例案はその3割前後であり、地方自治法96条1項1号から14号までの主要議決対象事件の割合は市議会で見るとその7割前後である。ここからも、主要な議案の審議時間はかなり短いということが見て取れる。
 ちなみに、インターネット上で具体的な資料が公表されているいくつかの市議会の場合で見ると、常任委員会についてはそれぞれの定例会で1~4回開かれ、1回の審査の時間も、だいたい1時間半~5時間程度となっていることが多く、複数の議案が審査され、1回の審査で終了するのが通常となっている。常任委員会の開催時間と付託議案数の情報を公開している市議会で請願・陳情を除く付託議案1件あたりの常任委員会の平均審査時間を過去に遡り計算してみると、平均で1時間半程度のところ、おおむね30分台のところなどがあった(5)。ただし、審査の対象となる議案によっては、2回以上の審査となったり、常任委員会の審査時間が6時間以上に及んだりすることもあるようであり、特に予算と決算については、複数回の審査となり、他の議案と比べかなり時間がかけられている。規模等による若干の違いはあるものの、他の市議会だけでなく、都道府県議会や町村議会でも状況はそれほど大きくは変わらないのではないかと思われる(6)
 議会審議を評価する場合に指標とされうるものとしては、審議時間のほか、議案の成立件数と成立率、修正率等、野党会派の政府(執行部)提出議案賛成率、審議日数・審議期間(平均・最長・最短)などがありうる。ただ、自治体議会の場合には、議会と長が全面的に対立でもしない限り、長提出議案の成立数は安定的・平準的なものとなり、成立率も極めて高く、修正率は極端に低く、全体的に賛成率が高いなどの現状を見る限り、かつ、経時的な観察や議会間の比較などをしてもそれほど変わらないことなどからすると、いずれもあまり意味をもたないようにも思われる(7)
 このほか、議会審議の時間は、公開ということからも影響を受けることがある。一つは、テレビ中継との関係であり、議会審議がテレビ中継される場合にテレビ中継の時間帯に質疑時間の設定を合わせることなどが行われていることである(8)。もう一つは、自治体議会において、住民が傍聴しやすいようにするため、夜間議会や休日議会の試みが行われていることである(9)。後者については、議員と個人の仕事(時間)との両立を図りやすくするといった議員のなり手確保対策としても、議論されているものであり、それぞれの議会の判断による取組みは積極的に評価されるべきであるが、その一方で、審議時間の確保や議会事務局・執行部の職員の負担の増加などの問題も指摘されることがある。

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