2022.02.25 議会改革
第27回 議会と時間(2)
さて、衆参両院の審議においては「時間」が争点化し、法案の審議の入り口と出口を絡めての審議時間をめぐる駆け引きが展開される。そこでは、法案や審議の内容よりも時間が焦点となり、審議時間をどのくらいとすべきか、行われた質疑の時間が十分なのか不十分なのかが議論となり、場合によっては、野党会派が退席したままでの割当時間に対する時計の空回しとその時間や与党が放棄した時間の審議時間へのカウントなどといった奇手が繰り出されることもある。審議の評価も時間が軸となり、過去との比較において相場なるものもいわれ、それを超えることが充実した審議の証しといわれることもある。そして、対決法案については、審議日程をめぐるスケジュール闘争となり、会期内での成立・継続・廃案をにらんでの審議の引き延ばしや強行なども伴う攻防が与野党間で繰り広げられるとともに、それ以外の法案が「まくら」としてそれに巻き込まれることもある。他方、審議自体はかなり定型化されており、その実質的な時間は長くはなく、多くの政府提出法案が、ときに延長も伴う会期内に成立するのが通例である(3)。
自治体議会の場合には、国会のように時間が争点化することは少ないようであるが、審議時間については、国会と同様に短いのが特徴となっているといえるだろう。
すなわち、本会議の開催日数は、前回で見たような日数にとどまるだけでなく、その時間についても代表質問や一般質問に係るものが圧倒的に多く、議案の審議に関する本会議は定例会でおおよそ1~3回ぐらいで、2~3時間で多くの議案が処理されるのが通例となっており、複数の議案が一括処理されることも少なくない。
また、委員会についても、都道府県議会では、常任委員会の数が平均で5.8、特別委員会が3.1であり、2018年中の常任委員会の平均開催日数が開会中で10.2日、閉会中で3.2日、特別委員会が開会中で3.7日、閉会中で2.8日となっているが、個別に見ると、開会中の最も多い常任委員会の開催日数が33日のところもあれば4日にとどまるところもある(開会中の最も少ない開催日数は2日であった)など、自治体によってかなりバラツキがある。
他方、市議会では、2020年中の常任委員会の数の平均が3.4で、常任委員会あたりの会期中の開催日数が平均で8.1日、閉会中が2.2日であり、特別委員会の平均数は3.4、会期中の平均開催日数が3.2日、閉会中が2.2日である。町村議会では、2019年中の常任委員会の平均設置数が2.4で、常任委員会あたりの会期中の平均開催日数が5.0日、閉会中が5.0日であり、特別委員会の平均設置数は3.1、会期中の平均開催日数が2.4日、閉会中が3.5日となっている。