2022.02.10 政策研究
第2回 政策(子育て支援)と比較
議会による比較を通じた政策提言
長野県飯綱町議会は、「飯綱町議会白書」の作成や政策サポーター制度・議会だよりモニター制度の創設・運用など議会改革の先駆的な議会である。本節では、政策サポーター制度を利用した「子育て支援のまち・飯綱町」と題した提言書の内容を紹介する。提言書は、隣接する長野市の政策(子育て支援)と比較することで、執行部の延長保育の無料化を実現するまでに至っている(資料1、2参照)。
なお、政策サポーター制度は、①開かれた議会とするためにも議会活動への町民参加を広げる、②定数が減る中で、町民の知恵も借りて政策づくりを協働で進める、③議員定数の減少の中で住民からの議会支援、をその動機と必要性としている(飯綱町 2021)。
◎資料1:新たな人口増対策提言書「子育て支援のまち・飯綱町」をめざして[抜粋]
(平成25年11月5日、飯綱町議会政策サポーター会議、担当:福祉文教常任委員会)
1.背景
飯綱町の人口は、昨年度までの5年間で年間150人ほど減少している。特に年少人口の減少と高齢者増加は、近隣市町村と比較しても際立っている。直近の国立社会保障・人口問題研究所の試算によると、当町の人口は、2030年には9,000人前後まで減少すると推計されている。
人口減少がもたらす影響は、環境への負荷低減など必ずしも悪いものばかりではない。しかし、生産年齢人口の減少に伴う地域経済への影響や地域福祉の担い手不足など負の影響を及ぼすことは確実である。
したがって、人口減少に歯止めをかけることは、当町にとって重要かつ喫緊の課題であり、早急に対策を講じる必要がある。
当町では、若者定住住宅の建設、住もうプロジェクトの推進など、人口増加のためのさまざまな事業を実施しているが、顕著な成果は得られていない。
このような状況のなか、議会は、昨年度制定した「議会基本条例」に基づき、本年6月から政策サポーター会議を組織した。今年度は、二つの常任委員会ごとにテーマを決め、15名の町民に参加をいただき、これまで討議と研究を重ねてきた。
しかしながら、議員任期限までにすべての課題についてとりまとめることが不可能なことから、他の課題に先がけ、子育て支援策の一部について提言を行うものである。
2.位置づけ
本提言書は、町民の参加を得て実施した「議会政策サポーター会議」で要因分析を行い、そこから導かれた一部の施策をとりまとめたものである。今後、来年度予算や実施計画の策定などを検討する際には、積極的に実施いただきたいと考えている。
3.現状把握と分析
〈略〉
4.子育て支援施策(事業)の充実に関する提案
〈略〉
(4)重点施策(事業)
○ある程度効果が見込まれ、即効性があり、しかも、大きな財政負担を伴わずに実施できるものを「重点施策(事業)」として提案する。
①平成26年度より、延長保育料金の完全無料化を実施すること
長野市では、朝7:30から8:30までと、夕方16:30〜18:30まで無料(土曜日は18:30まで)である。長野市への子育て世代の流失を防ぐため、土曜日も含めて延長保育料金は無料とする。このことにより、長野市と比較し、朝7:00からの30分と夕方18:30分からの30分について、無料時間が長くなる。
〈略〉
◎資料2:保育料について(飯綱町 2020)
子ども・子育て支援法が改正され幼児教育・保育の無償化がはじまりました。保育園に通う3歳児から5歳児(小学校就学前)までの子ども、0歳児から2歳児までの住民税非課税世帯の子どもの保育料が無償となりました。