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2022.01.28 政策研究

第22回 区域性(その2)

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「地方自治物語」における「地域」の類型(3)~地縁団体~

 第3類型は、認可地縁団体に関するものである。「町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(以下本条において「地縁による団体」という。)は、地域的な共同活動のための不動産又は不動産に関する権利等を保有するため市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」(260条の2第1項)とされる。
 つまり、地縁団体は、「その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うこと」(同条2項1号)が想定されている。そして、行政の権力的作用(認可)がなくても、「地域的な共同活動」が存在するのである。ただ、認可を受ければ、認可地縁団体の区域が明確になり、その団体が不動産などに係る活動がしやすくなる。ここでも、〈(字などの)地域⇒権力主体の作用(地縁団体の認可)⇒認可地縁団体の区域〉という図式が成立している。ただし、地縁団体は、「市町村内の一定の区域に住所を有する者」の「地縁」に限られているので、〈市町村の区域⇒住民⇒地縁⇒地域(的な共同活動)〉という関係にある。つまり、(市町村の)区域が(地縁団体の)地域より先にある。

「地方自治物語」における「地域」の類型(4)~大都市地域~

 区には、政令指定都市の区(いわゆる行政区)と、都の区(特別区)とがある(281条1項)。前者は地方公共団体ではなく、後者は(特別)地方公共団体である。上述のとおり、行政区には対応する地域の前提は想定されていない。特別区の場合は、「地域における事務……を処理する」のであるから、対応する地域が想定されている(281条2項)。
 ただし、「都は、特別区の存する区域において、特別区を包括する広域の地方公共団体として、……市町村が処理するものとされている事務のうち、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性及び統一性の確保の観点から当該区域を通じて都が一体的に処理することが必要であると認められる事務を処理するものとする」(281条の2第1項)とされており、「特別区の存する区域」と「人口が高度に集中する大都市地域」とが、特別区ごとに相当する地域とは別に存在する。ここでも、〈(人口が高度に集中する大都市)地域⇒権力主体の作用(特別区の設置)⇒(特別区の存する)区域=各特別区の区域の総和〉という図式が成立している。
 もっとも、「地方自治物語」の本体においては、「都の区」の設置についての「創世物語」は存在しない。ただ、従前(直近では1943年東京都制、古くは1878年郡区町村編制法・1889年市制特例に遡る)から区が存続してきたというだけである。つまり、権力主体の作用が見えにくかった。この点を言語化したのが、2012年の「大都市地域における特別区の設置に関する法律」である。この「大阪都構想」のための「特別区設置物語」において、「大都市地域」の存在が示唆されている。
 ただし、同法本文において「大都市地域」という用語はなく、法律の表題だけである。本則においては、「関係市町村」(同法2条1項)、「特定市町村」(同法13条)という機械的な用語が用いられ、「関係市町村を廃止し、当該関係市町村の区域の全部を分けて定める区域をその区域として、特別区を設ける」(同法2条3項)などとされている。「関係市町村」を構成する各市町村には区域がそれぞれ存在するから、〈各市町村の区域の全部⇒権力主体の作用(特別区の設置)⇒各特別区の区域の総和〉のように、行政区型で「物語」を読むこともできる。
 しかし、第1に、「関係市町村の区域の全部」に対応しているのが、「大都市地域」であり、その「大都市地域」に対応するのが「関係道府県」(同法2条2項)である。大都市地域の範囲を任意に画定してはならないのである。つまり、〈大都市地域⇒権力主体の作用(特別区設置・「見なし都」(同法10条))⇒「見なし都」の区域(関係道府県の区域と同じ)〉という「見なし都移行物語」がある。第2に、特別区の場合は、「地域における事務……を処理する」のであるから、大都市地域特別区設置の場合にも、単に特別区の区域が画定されるのではなく、画定されるであろう特別区ごとに地域があらかじめ存在するはずとなる。そして、あらかじめ存在する区に対応する地域に沿って、「特別区の区域」(5条1項2号)が画定されなければならない。特別区設置協議会で全く裁量的に線引きしてはならないのである。これらが「地域の実情に応じた大都市制度の特例」(1条)ということである(2)

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