2022.01.28 議会改革
第26回 議会と時間(1)
その場合、行政の活動は年度単位であるのに対し、議会の活動は1月~12月の暦年単位となるのが一般的である。また、多くの自治体では、定例会の年4回制が採用されており、予算審査が中心の第1回定例会を2月~3月頃、決算審査が中心の第3回を9月頃、それらの合間の6月頃に第2回、12月頃に第4回を開くのがおおよその通例となっている。議会の平均会期日数についても、多少の変動はあるものの、近年は、都道府県議会で110日前後、市議会で80日台後半、町村議会で40日台前半と、ほぼ一定化していることがうかがえる。
すなわち、全国都道府県議会議長会の「第14回都道府県議会提要」(19)によれば、2018年において地方自治法の通年会期制を採用する栃木県を除く46都道府県のうち、定例会4回制のところが40都道府県(87.0%)であり、平均会期日数は110.67日(46都道府県平均で定例会110.01日・臨時会0.59日)、2017年は110.02日(定例会109.09日・臨時会0.93日)、2016年は109.98日(定例会109.24日・臨時会0.74日)、2015年が107.43日(定例会104.98日・臨時会2.46日)であり、2018年において定例会4回の議会の中で最も少ない会期日数のところが67日、最も多い会期日数のところが130日となっている(20)。ちなみに、2018年の定例会の平均開催回数は3.78回、臨時会は0.48回である。
次に、全国市議会議長会の「市議会の活動に関する実態調査結果:令和2年中」によれば、通年会期制を採用している46市を除いた769市の99.6%が4回定例会を採用しており、定例会の平均会期日数は89.1日、平均本会議日数は20.8日であり、このうち第1回定例会が会期26.6日・本会議5.5日、第2回定例会が18.2日・4.7日、第3回が25.7日・5.4日、第4回が18.7日・5.2日となっている。また、715市(769市の93.0%)で市長招集臨時会が開催されており、平均開催回数は2.7回、平均会期日数は3.5日、平均本会議日数は3.0日となっている(21)。なお、定例会の平均会期日数について、過去の同調査結果によりさらに5年間遡ってみるならば、次の表のとおりである。いかに定型化されているかが見て取れるだろう。
表2 市議会の定例会の平均会期日数と平均本会議日数
(通年会期制を採用している市を除く)
次に、全国町村議会議長会の「第66回町村議会実態調査結果(令和2年7月1日現在)」によれば、2019年における定例会の年間開催回数は「4回」が866町村(926町村の93.5%)であり、臨時会の年間開催回数については、1回が206町村と最も多く、次いで2回が189町村、3回が167町村、4回が121町村、5回以上が125町村となっており、1議会あたりの平均開催回数は2.9回となっている。会期の通年制を採用している町村を除いた2019年中の定例会の1議会あたりの平均会期日数は41.1日で、本会議日数は13.4日、臨時会の1議会あたりの平均会期日数は3.0日で、本会議日数は2.9日であり、定例会と臨時会を合わせた年間の平均会期日数は43.8日、本会議日数は16.2日となっている。さらに過去の同調査結果によれば、同じく、2018年中の定例会の平均会期日数は40.9日・本会議日数は13.3日、臨時会の平均会期日数は2.8日・本会議日数は2.7日で年間の平均会期日数42.6日・本会議日数15.9日であり、2017年中の定例会の平均会期日数は40.6日・本会議日数は13.2日、臨時会の平均会期日数は2.9日・本会議日数は2.8日で年間の平均会期日数42.8日・本会議日数15.9日となっている。
いずれにおいても、定例会・臨時会の時期・会期日数の定型化だけでなく、その日程の組み方等についても、パターン化されており、一定の時間的な枠の中で予定される案件が処理され、活動が終了するように仕組まれている。自治体の種類・規模による相違やそれぞれの議会による特徴も多少は見られるものの、かなり画一的であるとの印象を受ける。
なお、通年会期や通年議会を採用しているところを除いた年間の会期日数は、15~20年前と比べて都道府県議会と市議会で20%強、町村議会で10%程度増加している状況にある(22)。
他方、通年会期ないし通年議会を採用する場合には、その間、活動能力を有しており、長の招集行為なしに会議を開催できるものの、会期日数にはそれほど意味がなく、実際にどれだけ本会議や委員会を開き審議や調査を行ったのかが問題となる。この点、通年会期・通年議会では、開催日数の増加がその意義の一つとして挙げられ、実際に開催日数が増加したとの分析もある(23)。他方で、通年会期・通年議会を導入するところでも、定期的に会議を開く日を定めていることから、定例会が4回のところと年間のスケジュールも開催日数もそれほど変わらないとの指摘もある。定例日以外にも随時開催が可能とされる一方で、議会によっては、定例日を定期的に定めていても、実際には開催しなかった月などが見られるところもあるようだ。
通年会期や通年議会を採用する議会は、なお少数にとどまるものの、それぞれの自治体の状況に応じた議会の多様なあり方に資するものでもあり、それぞれが無理のないところで工夫などを重ねることにより、その発展や定着が期待されるところだ。