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2022.01.28 議会改革

第26回 議会と時間(1)

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表1 自治体議会における時間に関する規定

 そして、時間という点から日本の議会法を眺めた場合には、諸外国と比べて、時間に関する規定はそれほど多くはないようにも見える(4)。その中には、先例その他の慣行に委ねられたり、会派間の調整に委ねられたりしているものもある。諸外国の自治体の議会法規との比較は容易ではないが、日本の自治体議会に関する法律や会議規則・条例の規定を眺める限り、そのことは、自治体議会についてもある程度は当てはまるようにも思われる。この点については、国会の場合には、1950年代後半以降の議会法規の整備や改革の停滞による規定の固定化、時間をめぐる与野党間の駆け引きの激化、自治体議会の場合には、国会法や議院規則を参考にした標準会議規則の存在、そのような規定を要しないほどの審議の定型化なども、あるいは関係しているのかもしれない。
 なお、議会における時間においては、多数派と少数派がそれぞれ時間に関する手段としてどのようなものをもっているかということも重要となり、その手段については、審議の促進や時間の制限vs審議の確保や時間の引き延ばしといった対抗的なものともなる。例えば、日本の国会の場合でいえば、少数派の開会拒否に対し多数派による多数決開催・職権開催、少数派の側の長時間演説や質疑続行要求に対し多数派の発言時間の制限や終局動議、少数派の記名投票要求の連発や牛歩に対し多数派の投票時間の制限、委員会での採決の引き延ばしに対する中間報告の発動などが挙げられる。ヨーロッパ諸国の議会で認められているような政府や多数派による審議制限といった強い議事コントロールの権限までは認められておらず、国会における時間に関するルールは野党側に有利に働いているとはいわれるものの、それでも、数で劣る少数派の手段は限られているのが現状といえる。自治体議会の場合も、同様ではないかと思われる。
 また、その際には、多数派と少数派の関係が対立的かそれとも協調的かということも議会における時間に影響する。この点、国会の場合には、政府法案等をめぐり与党と野党が激しく対立することが少なくなく、対決法案の審議をめぐっては時間が争点となる。これに対し、自治体議会の場合には、概して会派間の関係は協調的であり、あらかじめ定められた時間の中で審議が行われることが多い。

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