2022.01.28 議会改革
第26回 議会と時間(1)
2 議会の制度・手続と時間
議会における時間は、その制度や手続のあり方によっても、様相を異にする。
例えば、権力融合的な制度か、権力分散的な制度かによる違いが指摘されることがあり、その場合、一般的には、権力分散的な制度の方が、ステージやプロセスが断片化し、時間の管理が難しく、時間がかかることが多いともいわれる。また、どのような審議システムとなるかによって、時間が問題となるステージが異なりうる。例えば、二院制の場合には、大きな二つのステージで審議が行われることになるのであり、委員会中心主義が採用される場合には、審議(時間)の中心は委員会の場に移ることになるが、そこでは、第一院の優越がどの程度強いのか、議会(議院)の側により委員会をどの程度コントロールできるのかが時間に対して大きな影響を与えることになる。
自治体議会については、一院制であることから、本会議中心と委員会中心のいずれのスタイルをとるかで異なることになる。もっとも、都道府県議会や市議会では後者、町村議会では前者に重きを置く傾向が見られるともいわれるが、国会や諸外国の議会における委員会中心主義と比べれば、概してその程度は弱いといえる(2)。
このほか、議会のプロセスにおいて何を重視し、どのような手続をとるかということも時間に影響する。
議会手続において基本的な理念となるのは、公正性と民主性と効率性であり、それぞれが時間とも関係することになるが、比較的、公正性と民主性が時間を長くする方向、効率性が時間を短くする方向と親和的といえるだろう。また、議会に関する基本原理の一つである多数決の原理については、時間との関係では、時間が来たら決めるものと捉えられがちであるが、最終的には多数決によって決定せざるをえないとしても、多数派の意思を重視するのか、合意や少数派の機会の確保を重視するのかによって、見方が異なるのであり、多数派による決定と少数派の機会(時間)の確保との調和をどのように図っていくかが問われることになる。
ところで、議会に関する法規を時間という観点から分析する場合には、議会の活動にかかわる規定と審議にかかわる規定とに分けつつ時間に関係する規律を見ていくことになるが、時間に関する規定の種類や機能ということでは、時間の設定にかかわるもの、指定にかかわるもの、確保にかかわるもの、限定・短縮にかかわるもの、延長にかかわるものなどに区分することができる。ただし、その区分はかなり相対的なものとなり、規定や制度の本来の趣旨とは異なる使われ方や機能をするものもある(3)。