2022.01.28 議会改革
第26回 議会と時間(1)
(11) 議会運営機関を常任委員会化する意義としては議会運営の透明性を高めることなどがあり、国会の議院運営委員会も、当初は、運営については帝国議会以来の各派交渉会で引き続き協議を行うことが予定されていたところ、社会党による交渉会を明朗かつ公開にする必要があり議院運営委員会にすべきとの提言が通ったものである。そして、第1回国会では議院運営委員会と各派交渉会が並置され、議院運営委員会では基本的・原則的な問題を取り上げ、交渉会では日々の議事運営、政治的話合いを行うとの建前でいたところ、非公開である交渉会で議事運営が行われることがGHQによって問題とされたことから、交渉会に代えて議院運営委員会小委員協議会が設けられ、さらにその後、国会法に議長は議院運営委員会の議事協議会において協議できるとする規定が置かれた。もっとも、現在では、衆参両院ともに議事協議会は開催されていない。
(12) 衆議院と参議院の議院運営委員会の委員定数はそれぞれ25人であるのに対し、都道府県議会における議会運営委員会の委員定数は8人(富山県・石川県・宮崎県)~23人(東京都)であり、10人前後としているところが多く、また、町村議会の議会運営委員会の平均定数は5.4人となっている。なお、その場合に、交渉団体等の定めをもち、議会運営委員会の委員を一定規模以上の会派に割り当てるところが少なくない。
(13) 例えば、市議会では議会運営委員会を公開としているところは45.5%となっており、また、委員会の記録については、要点記録としているところが、都道府県議会・市議会でも少なからず見られ、町村議会では7割近くとなっており、録音のみとしているところもある。
(14) 議員の任期の短縮を伴う解散は、①議会の解散請求が成立した場合、②議会による不信任議決に対して長が議会を解散した場合、③特例法により議会が特別多数により議会の解散の議決をする自主解散の場合に限られる。逆に、自治体議会の議員の場合には、大規模災害、統一選挙の必要など特別の事情がある場合には、法律で任期の延長が行われることもある。これに対し、国会議員の場合には、憲法との関係で法律による任期の延長は困難と解されている。
(15) 国会の場合には、衆議院の解散・総選挙が比較的頻繁に行われてきたほか(平均すると3年弱)、3年ごとの参議院の通常選挙もある。なお、衆議院の総選挙の場合には、参議院でも議案が廃案とされ、継続審査を行わない取扱いとなっていることから、衆議院の選挙期は基本的に立法期といえるのに対し、参議院の場合には、半数改選となっており、通常選挙の場合でも衆議院では議案は廃案とならず継続審査も可能との取扱いとなっているものの、参議院では廃案とされることなどから、準立法期と捉える見方もある。
(16) ここ5年で見ると、国会の年間開会日数は、2021年が180日、2020年が194日、2019年が222日、2018年が230日、2017年が190日となっており、200日を下回る年が少なくない。
(17) 地方自治法102条2項では、定例会の回数について、当初は毎年6回以上とされ、それが1952年の改正で毎年4回とされ、1956年の改正で毎年4回以内において条例で定める回数とされ、さらにそれが2004年の改正で毎年条例で定める回数とされたものである。
(18) 議会によっては、定例会の招集日、会期、本会議・委員会の開会等の予定、閉会中の委員会の開会の予定などまで含んだ年間スケジュールないし年度スケジュールを作成し、公表しているところもあり、毎年ほぼ同じようなものとなっていることも少なくない。それも定型化・固定化の一つの証左といえるだろう。
(19) なお、本稿及び次回において、都道府県議会の状況を数値などで示しているものは、特に断りのあるものを除き、基本的に第14回都道府県議会事務提要による。同じく、市議会については、後述の市議会の活動に関する実態調査結果(令和2年中)、町村議会については、後述の第66回町村議会実態調査結果によるものである。
(20) 定例会の開催回数が1回・2回のところでは実質的に通年議会となっており、定例会の回数が2015~2018年において2回の滋賀県では310~330日前後、2015年において2回・2016~2018年において1回の三重県では2回の場合が289日・1回の場合が330日台後半、2016~2018年において2回の秋田県では250日前後となっている。それらを除外すれば、平均会期日数はもう少し減少することになり、例えば、定例会が3・4回の都道府県議会の2018年の平均会期日数は97.0日となる。
(21) このほか、議長請求臨時会を開催した市は48市(6.2%)で、平均開催回数は1.3回、平均会期日数は1.5日、平均本会議日数は1.4日、議員請求臨時会を開催した市は29市(3.8%)で、平均開催回数は1.1回、平均会期日数は1.5日、平均本会議日数は1.3日となっている。
(22) 全国3議長会の資料で入手可能なものによる関係上、比較する年がそろってはいないが、例えば、都道府県議会における1999年中の年間平均会期日数は78.57日、市議会における2002年中の定例会会期日数は73日、臨時会会期日数は3日、町村議会における2004年中の定例会会期日数は36.2日、臨時会会期日数は3.6日となっている。なお、都道府県議会については、通年会期や実質的通年議会の議会を除いたものでの比較としている。
(23) その場合でも、本会議の日数はあまり増加せず、開催日数が増加するのは委員会にとどまるとの指摘もある。また、開催日数の増加が通年議会のメリットとされる審議の日数・時間の増加や確保につながっているかどうは不明である。ちなみに、通年会期制をとる栃木県議会の2018年における本会議の開会日数は24日、委員会の開会日数は32日となっている。
(24) 中島正郎『新訂 会議規則・委員会条例・傍聴規則逐条解説〈第3版〉』(ぎょうせい、1980年)42~43頁、地方議会運営研究会編集『地方議会運営事典〈第2次改訂版〉』(ぎょうせい、2014年)78頁など。
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