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2022.01.28 議会改革

第26回 議会と時間(1)

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慶應義塾大学大学院法務研究科客員教授 川﨑政司

 今回と次回は、「時間」ということから議会について考えてみたい。その運営や審議の定型化が進んでいる自治体議会の場合には、普段はそれほど意識されることはないかもしれないが、時間は重要なファクター・リソースとして議会の活動やあり方に大きく影響している。

1 議会における時間

 議会は、多数の議員によって構成される合議体として、提出された案件について手続を踏み議論を行ってその意思を決定することを本来の権能・職務とする機関であり、その点では、議会は、時間のかかるシステムであると同時に、国民や住民を代表する意思決定機関として一定の時間の中で結論を出すことが求められることになる。議会は、時間と深く結び付いた制度であり、時間に支配される。
 そして、時は、誰に対しても同じに刻むのであり、時間は、貴重な資源となるものである。
 そのような中で、「議会と時間」ということが欧米諸国で活発に論じられるようになっており、日本でもそれに呼応した研究なども見られる。改めて「時間」という切り口から議会のあり方について検討し、その特徴や問題点・課題を浮かび上がらせることには、それなりの意味があるといえるだろう。時間は、客観的な指標であり、時間により比較・評価することは、それぞれの議会を客観的・相対的に見ることにもつながりうる。
 もっとも、議会を時間により比較・評価することの意味とともに、時間という尺度の意義と限界についても、しっかりと見定めることが必要である。
 第1に、時間に着目する趣旨や狙いである。
 時間が問題とされる背景には、統治におけるガバナンスや経営的な発想・手法を重視する潮流が見え隠れし、そこでは、時間が限られた資源であることや、生産性・効率性といったことが強調される傾向が見受けられる。特に、国家の役割の拡大に伴い議会の処理する案件が増大するとともに、社会が高度化・複雑化し、変化の激しい現代においては、できるだけ迅速・機動的な対応が求められることなどもあって、議会と時間ということでは、効率性に重きが置かれ、議会はしばしば非効率なシステムと見なされることになる。
 第2に、時間と議会審議との関係である。
 この点、審議に時間をかければかけるほど議論が行われることにはなるものの、時間が短ければ審議が不十分であり、長く時間をかければ十分な審議が行われたことに必ずしもなるわけではない。時間と充実した審議との間には一定の相関関係があるとしても比例関係にあるとまではいえず、他方、時間がかかることが非効率とは限らない。加えて、同じ時間であっても、その内実やもつ意味が異なることもある。
 その意味では、時間は形式的なものであって、常に実質を表すものではない。時間と議会の機能との関係については、慎重に見ていくことが求められる。

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