2022.01.28 議会運営
第81回 議員報酬減額の是非
明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦
議員報酬減額の是非
A議会においてB議員が選挙期間中に不祥事を起こしていたことが発覚した。その不祥事について議会として説明責任を果たしてもらうため、議会に出席し説明をするように求めたが、病気療養のためとして当該出席要求に応じることなく、本会議、委員会、協議等の場等を含めたすべての公的な議会活動に出席していない。そのため、議会としてB議員に対し、辞職勧告決議を可決したが、それでもB議員は議員を辞職することなく、正規の議会活動への出席をしないまま満額の議員報酬を受領していた。なお、議員報酬条例には特に減額規定がなかったため、今後も住民からの議会及び議員に対する批判が強まることが予想される。この場合において、そもそも議員の報酬を減額する規定を置くことは、地方自治法(以下「法」という)203条1項に基づき議員に議員報酬を支払う法的な義務がある中で可能であるのか。
議員報酬とは、法203条1項に規定された一定の役務に対する対価として与えられる反対給付である。常勤の職員に対するものは給料であり、非常勤の職員に対するものは報酬であるが、議員報酬は議員の身分が特別職の公務員とだけ規定されており、非常勤ではないが、その性質は報酬と同等であるといえる。
【法203条】
① 普通地方公共団体は、その議会の議員に対し、議員報酬を支給しなければならない。
④ 議員報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。
そのため、議員報酬は議員が職務を執行することに支給せられるべきもので、職務を執行しない場合には支給すべき性質のものではない。 すなわち、行政実例昭和24.8.25のとおり地方公共団体の議会の議員の報酬条例において期間を定め、その期間議会に出席しない場合には当該期間分の報酬を支給しない旨の規定を設けることはできる。