2022.01.14 政策研究
第1回 政策(人口)と時間
時間の活用策
議員も1人ないし少数で事(政策)を成そうとすれば無理が生じる。議会も市民の意見を聴かず議会単独で事(政策)を成そうとすれば無理が生じる。多様な市民への配慮が足りず、内容が不十分なものとなる。したがって、適正な政策を行おうとすれば、議会も議員にも一定程度の時間が必要となる。そこでは、「時間の活用策」と「時間の確保策」が求められる。
では、どのような時間の活用策が求められるのであろうか。他の自治体議会(市町村議会や都道府県議会)や国の政策(個別政策や議会運営など)を参照することは、「時間の活用策」としても「時間の確保策」としても効果的である。参照するに当たり、議会事務局職員の活用や専門家の知見活用そして研修機会を活用することも効果的である。
また、議会には、「いざ」というとき(非常時)に備え、平常時の時間を活用した様々な取組みが必要となる。例えば、事故、災害、パンデミック、エネルギー転換、食糧危機、気候変動などの政策研究が求められる。様々な災害が複合災害として起きることもある。このような取組みは、国や国際機構だけが責任を負うわけではない。自治体政府(議会・行政)や市民にも、限りある時間を踏まえた取組みが必要となる。
議会には、「時間の活用策」と「時間の確保策」について、その先端的役割を果たすことが期待される。
結び
本稿で述べたように、議会ないしそれを構成する議員は万能ではない。すなわち、議会ないし議員は可謬性をもつ。議会が、これらの可謬性を超克するためには「時間の活用策」と「時間の確保策」が必要である。
議会改革が行われても政策改革(政策変容)が伴わなければ、議会改革の効果は市民には届かない。政策改革(政策変容)までには時間がかかる。しかし、民主主義には時間がかかることを忘れてはならない。時間がかかることは配慮が行き届くというメリットがある。時間をかけても、人のやさしさや複眼的視座をもつ議会と議員に期待したい。
(1) 「政策終了」には、目標を達成した場合、政策の効果がない場合、環境が変わった場合などが考えられる。なお、「政策終了」を特集したものに『公共政策研究 vol.12』(日本公共政策学会、2012年)がある。
(2) 坂出市(2015)「坂出市人口ビジョン」(https://www.city.sakaide.lg.jp/uploaded/life/45371_154673_misc.pdf〔2021年12月19日確認〕)。
(3) 坂出市(2016)『坂出市まちづくり基本構想』(https://www.city.sakaide.lg.jp/uploaded/life/45371_154674_misc.pdf〔2021年12月8日確認〕)。
(4) 例えば、坂出市のホームページ「まちづくり基本構想、人口ビジョン、まち・ひと・しごと創生総合戦略」中の「第4回坂出市まちづくり基本構想審議会(平成28年2月10日開催)」の資料1「坂出市まちづくり基本構想素案に対する主なご意見と対応状況」3頁(https://www.city.sakaide.lg.jp/uploaded/life/45371_154671_misc.pdf〔2021年12月19日確認〕)。
■参考文献
◇日本公共政策学会(2012)『公共政策研究 vol.12』
◇坂出市ホームページ
◇内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局ホームページ