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2022.01.14 政策研究

第1回 政策(人口)と時間

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「政策の時間的不完全性」と「政策の変容不可避性」

 時間は政策の実現に必要な資源(=政策資源)の一つである。そして、政策には「時間的不完全性」がある。ここでいう「政策の時間的不完全性」とは、「政策が実施されるまでには時間がかかり、適正な政策が行われることは限られる」ことを指す。政策を実施するためには、政策過程(課題抽出、選択肢作成、決定、実施、評価)があり、時間が必要となる。したがって、例えば、課題抽出が行われたとしても政策の実施が行われるまでには、政策を取り巻く状況(環境)が変わってしまい、政策の効果が低減することで、政策が不完全になることを意味する。
 そのため、「政策の時間的不完全性」は「政策の変容不可避性」を引き起こす。「政策の変容不可避性」とは、「政策を適正に実施するためには、当初の政策内容を変容せざるを得ない」ことをいう。例えば、人口の増減は供給処理施設といわれる水道・下水道などの施設整備にも大きな影響をもたらす。水道(浄水施設)・下水道(下水処理施設)などの耐用年数は、50年ないし60年といわれる。そこでは、人口の減少が予測される現在、その精査が求められる。
 このような「政策の時間的不完全性」と「政策の変容不可避性」については、自治体計画や予算に影響力をもつ議会でも、十分に認識していることが必要である。

議会のサイクル

 議会には、議会としてのサイクル(=時間)があることを再認識する必要がある。その議会としてのサイクル(=時間)には、表5のように様々なものがある。これらのサイクルに合わせて議会活動を行い、市民と議会(議員)の間、議会と行政の間、議員の間、議会と他の議会、議会と国(両議院や大臣・省庁)の間、における合意形成を図っていくことが自治体議会には求められる。
 表5は、あくまでも一つの例であり、議会ごとに様々なサイクル(=時間)が考えられよう。備考は、各内容のサイクル(=時間)における連携や整合の留意点を示したものである。ここでいう「自治体計画」とは、行政が実施する議会の決定(議決)した計画であり、行政が実施するが議会の決定(議決)していない計画である「行政計画」とは区別している。また、「議会計画」とは、議会の運営・体制についての総合計画であり、議会改革や議会事務局改革の内容を包含する複数年の計画である。
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出典:筆者作成
表5 自治体議会のサイクル(=時間)の例

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