2022.01.14 政策研究
第1回 政策(人口)と時間
議会の議論の有り様
とするならば、議論を活動の主な手段とする議会には、議論の効果を上げるため「議会の議論の有り様」が強く求められてくる。この「議会の議論の有り様」と「議論に求められる心構え」、「考えられる手法」を一覧に示したものが表1である。
もちろん、議論の結果であっても自治体を取り巻く環境が変わることもある。その意味では、議論の結果は正解かどうか分からない。自治体の目標を変えないとすれば、予測が(大きく)ズレてくれば、(大きな)調整が必要となる。それゆえ、議論して決断した政策であっても、政策は常に「暫定の政策」であるといえる。
出典:筆者作成
表1 「議会の議論の有り様」と「議論に求められる心構え」、「考えられる手法」
総合計画(基本構想)における人口計画の見直しの必要性
政策の変更(政策終了(1)を含む)には時間を必要とする。例えば、総合計画における人口計画(目標人口)は、土地利用計画とともに自治体政策の基幹をなすものであり、個別政策に大きな影響を与えるものであるが、かつてこの目標人口は過剰に計上されていることが少なくなかった。
総合計画を構成する基本構想については、2011年の地方自治法改正により法律上の策定義務はなくなったものの、自治基本条例や議会基本条例などにその制定根拠をもちながら、議会の一定の関与のもと策定され続けている。日本全体の人口が減っていく中で、人口を維持できる可能性のある自治体が限られているのであれば、従来から先行し策定されている基本構想における目標人口の見直しが多くの自治体において求められることは必然である。そこでは、基本構想の策定過程において、議決権をもつ議会がどのような実質的審議をしているのかが問われてくる。